猪瀬直樹元都知事(69)は12日、都内で開かれた小池百合子都知事の政経塾「希望の塾」で、「東京の敵 闇に棲(す)む者は光を当てることで力を失う」の題で講演した。小池氏と対立し、自身も副知事、知事時代に接した都議会の「ドン」内田茂・前自民党都連幹事長(77)に触れ「まずは、都議会のドンをやっつけないといけない」とやり玉に挙げ、ドンの実態や力のそぎ方について、塾生に直接レクチャーした。

 公務で欠席した小池氏に「長年の友人」として講師を依頼された。出席者によると、猪瀬氏は「(内田氏は)僕の副知事時代も問題があった」と主張。「有名になれば、身動きが取れなくなる。まずはこの人を有名にすることが必要だった」と述べた。小池氏が知事選前、唐突に都議会の冒頭解散を表明したのも、「当選しても議会に不信任案を出され、いずれ失職するかもしれない。本当に怖さを感じたので、あの言葉を言った」と代弁した。

 終了後、猪瀬氏はドンを「東京の敵」と断言。「個人というより、ドンが力を持つ構造が問題。身動きが取れなくなった今も、実際は権力がある」と指摘。「小池氏は来年の都議選を考え、塾を立ち上げたのだろう」との見方を示した。

 猪瀬氏はさらに、「東京五輪組織委員会にもドンがいる」。森喜朗会長かと問われ「普通ね」と認め、「組織委も透明化しないといけない」と、2人のドンを切り捨てた。【中山知子】