2018年、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして殺人罪などに問われた元妻須藤早貴被告(28)は10日、和歌山地裁で開かれた、別の男性から現金をだまし取ったとする詐欺罪の初公判で「金を受け取ったことは事実だが、私の体をもてあそぶために金を払った」と述べた。弁護人は詐欺罪の成立を争うとした。

詐欺罪は野崎さんに対する殺人事件とは分離して審理される。起訴状によると、被告は15年3月から16年1月にかけて、札幌市の男性=当時(61)=から海外留学の準備金などの名目で計約2980万円をだましとったとしている。

検察側は冒頭陳述で、被告は当時、美容専門学校に通いながらキャバクラに勤務していたと指摘。客だった被害者に「学校で出場したコンテストでモデルの髪を傷めた」と持ちかけ、弁償金などの名目でも現金をだまし取り、7カ国分の海外旅行代金を支払ったとした。

弁護側は「性的な接触をするため金を振り込んだ」と主張した。被告は弁護人の横に座り、検事をまっすぐ見つめていた。

被告は18年5月に致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとして、殺人罪で起訴された。裁判員裁判で審理される見通しだが、公判開始のめどは立っていない。詐欺事件当時は19歳だったが、家裁送致時点で20歳以上だったため検察官送致(逆送)され、詐欺罪でも追起訴された。(共同)