2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は16日、競技会場となる国や民間所有の施設について、仮設費用を原則負担することを決めた。

 国や都、関係自治体の負担割合が減り、組織委が700億円超を賄うこととなった。例えば、新国立競技場の仮設サブトラックの建設費は組織委が負担することが決まった。

 先日、東京都の小池百合子知事が都外施設の仮設費を原則、全額負担することを決めたが、その約500億円の内、約250億円が国や民間施設分だったため、それらの費用が都から組織委に付け変わる。それ以外の諸経費を含め仮設については約300億円が組織委に付け変わるため、もともとあった800億円(テント、プレハブなど)に加わる。「組織委:国:都=2:1:1」の割合で分担するパラリンピック経費を除くと、仮設費用の組織委負担額は計1000億円程度となる見込み。

 それ以外にも組織委は、運営費の一部(大型ビジョン、通信設備など)、福島あづま球場とサッカーの追加1会場分についても負担することを決めた。まとめると、300億円(国・民間施設の仮設費)+300億円(運営費の一部)+100億円超(追加会場分)=700億円超が組織委が賄う。

 これらの負担額は組織委がこれまで示してきた5000億円の予算外のため、増収を図る必要がある。スポンサーのさらなる獲得や、グッズ、チケット販売を増やすことで増収を狙うが、国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)にロイヤルティー(権利費)を約3割支払う必要があり、700億円を賄うには約1000億円の増収が必要となる。

 現状、新カテゴリーでのスポンサー獲得などで約500億円の増収を見込んでおり、さらなる営業努力で1000億円の増収を目指す。

 組織委の武藤敏郎副事務総長は700億円もの負担を決めた理由について「都も国も負担する理由が必要だ。都税を民間施設に払うわけにはいかないのは分かる。国は大会後に壊す仮設を負担できないのは難しいと再三、主張していた。その中で、都は都外にある自治体の仮設施設、国はパラリンピックを持つと譲歩した。その真摯(しんし)な議論の中で、合意点を理性的に探してきた。費用の押し付け合いでは全くない」と述べた。