日本第2戦(24日、対セネガル)の開催地エカテリンブルクでは2年前、市民のエイズウイルス(HIV)感染者が急増し、保健当局が大流行宣言を出す事態となった。人口約150万人(当時)に対し、1・8%にあたる約2万7000人が感染。市民らに話を聞くと、街は当時大パニックに陥ったという。その後、流行は収まり、現在は落ち着きを取り戻したというが、夜の街で働く人たちは、多くの外国人が集まるワールドカップ(W杯)が始まり、危機感を募らせていた。

 HIV感染の原因で2番目に多い(45・3%)のが、薬物依存者による注射器の回し打ちだった。街には専門の医療機関も多く、市中心部の薬物依存患者が集まる病院の医師のジコフ・アレクシーさん(40)によると、エカテリンブルクだけでなく、地方都市からも患者が集まるという。「薬物も医者の処方がないと罰金刑だが、2年前から状況は大きく変わっていない。当たり前だが、回し打ちをするとHIVに感染する可能性もある」と観光客に注意を呼び掛けた。