自治体や企業のキャラクター日本一を決める「ゆるキャラグランプリ2018」が18日、大阪府東大阪市の花園中央公園で行われ、埼玉県志木市文化スポーツ振興公社の「カパル」が88万9346票を獲得し、全国からエントリーした909体の頂点に立った。「組織票」騒動に揺れた今大会において、同公社は職員わずか5人の小所帯。会場での圧倒的な支持を受け、昨年11位から一気にジャンプアップした。事前のインターネット投票で暫定1位だった三重県四日市市の「こにゅうどうくん」は3位に終わった。

「組織票の『そ』の字も出せないような、小さな団体です」。カパルの相棒を務める職員の権田原花子さんは言い切った。公社の人員はアルバイトを含めても30人足らずだという。上位の自治体が、投票IDを大量に入手、配布し「組織票騒動」が巻き起こった今大会。それでも頂点に立ったのは、会場で圧倒的な“生”の声援を受けたカパルだった。現地で直接投票され、3倍換算された決選投票数は断トツの7251票。そこで3位の「こにゅうどうくん」に約5000票の差をつけた。

市内に古くから伝わるカッパの民話をモチーフに誕生も、すぐにお蔵入り。10年近くも放置されるという黒歴史を持つ。同グランプリが開始された11年から復活し3次元化。権田原さんいわく「正統派のキャラとは違って、普段はゴロゴロ。サボり癖があり、戦隊ものが好きで“オタ活”をしている」という個性派だ。

暫定4位からの大逆転を後押しした秘密はツイッターの存在だった。「大好きで、そこでたくさんの方と会話をすることが日課」で、現在フォロワーは約3万5000人。自分の名前を検索し、知名度などを確認するエゴサーチで「カパル」を調べ、自ら会話を投げかける。返信などのし過ぎで、アカウントを2度、凍結(使用停止)されたこともあるという。

結果発表会場には緑のカパルグッズが目立ち、歓声の多さも1番。「今年が最後」と決意して臨んだラストイヤーで悲願をつかんだ。「たくさんの応援してくれている方の力があってこそ」と権田原さんは涙ながらに感謝した。

今月1日時点で暫定1位となり、市職員による「組織票」が指摘された「こにゅうどうくん」は福岡県大牟田市の「ジャー坊」に次ぐ3位。ネット得票の最終発表は80万5207票で、暫定1位時から約38万票が大会実行委員会に無効とみなされ、削除された。

この結果に森智広四日市市長(40)は「(実行委が)精査した結果、80万票を認めていただいた。素晴らしい結果」と納得し、約3000人の市職員を含む「ルールに従って取り組んだ。市民の思いが詰まった80万票。誇りを持って帰りたい」と胸を張った。来年以降は出場しないと明言し「もうノーサイド。次を向いて歩きましょう」と会場の花園に絡めて前を向き、「記録よりも記憶かな」と報道陣にも感謝していた。【奥田隼人】