ミラノ・サローネに不況風?

中田英寿プロデュースによる日本酒バー「Sakenomy」。食をテーマにした「ミラノ万博」でも注目されそうだ
中田英寿プロデュースによる日本酒バー「Sakenomy」。食をテーマにした「ミラノ万博」でも注目されそうだ

 ミラノ・サローネ(国際家具展)が終わった。ミラノで最大の見本市。もはや家具に限らず生活とデザインのための情報発信の場と位置づけられ、見本市会場が郊外に移転して以降はメーカーのショールームなどを使った町中での展示がどんどん拡大している。

 一般にミラノの北西部、RHO(ロー)という場所にある見本市会場は「FIERA」(フィエラ。文字通り見本市のこと)、ミラノ市内の展示は会場の「外」を意味する「FUORI」(フォーリ)と呼ばれるが、フォーリは入場券が必要ないためデザインを学ぶ学生から、インテリア好きの親子連れまで幅広い客層で賑わっている。

中田英寿プロデュースによる日本酒バー「Sakenomy」。オープニングには中田氏も酒を振る舞っていたそうだ
中田英寿プロデュースによる日本酒バー「Sakenomy」。オープニングには中田氏も酒を振る舞っていたそうだ

 「今年は厳しい。去年までたくさん来ていたロシア人がルーブルの下落でまったく見当たらない。その以前に多かった中国人もいない。会場内での商談は厳しいよ」とは、とあるメーカーの営業マン。たしかに2日目こそ見本市会場内も混雑していたけど3日目、4日目はパビリオンによっては出展者の方が多いかというところもあった。フィエラとフォーリの盛況ぶりは対照的だ。

 今年のフォーリはフランスデザインやアイリッシュデザインと他国のデザインも目立ったが、中でも時流に乗って注目されていたのが「Tokyo Design Week」だ。

浮世絵の版画がどのように刷られるか段階を追って示した展示
浮世絵の版画がどのように刷られるか段階を追って示した展示

 インテリアや照明などの工業デザインの枠を超えて、原宿のストリートファッション誌「Zipper」による、もはや国際語となりつつある「KAWAII」のグラフィック展示や、叫び顔専門写真館「TWOTONE」、バーチャル映像に飛び込んで自動車を破壊するゲーム「NARIKIRI SHOWDOWN」。極めつけは元サッカー日本代表の中田英寿プロデュースによる日本酒バー「Sakenomy」など、オタクからアニメ、ハイテク、そして伝統的な日本文化まで幅広く日本のカタチを伝えるパビリオンに人気が集中していた。

バーチャルで車を破壊して楽しむ「NARIKIRI SHOWDOWN」
バーチャルで車を破壊して楽しむ「NARIKIRI SHOWDOWN」

人気のTokyo Design Week

 「Tokyo Design Week」は去年に続き2回目で、主催はNPOと民間のデザイン会社。ミラノのほかの見本市には日本の経済産業省がバックアップしているものもあるけれど、申し訳ないけどお役所が出てくるものはどれも成功しているとはいいがたい。

フォーリの中でも注目が集まるトルトーナ通りに出展した「Tokyo Design Week」
フォーリの中でも注目が集まるトルトーナ通りに出展した「Tokyo Design Week」

 いわゆる産業政策的なものでなく、自然な形で人々に認められてきたものが日本を代表し象徴するものとなる。とりわけ海外で受け入れられる日本の文化とはそういうものだと思う。

 ミラノ・サローネはどちらかというとイタリアの優れたデザイン家具を見せる場だったけど、今後は世界中の生活にかかわるデザインが見られる場所になっていくのではないかと思う。(イタリア・ミラノから新津隆夫。写真も)