スターバックスからも缶コーヒーが発売されています(スターバックスのHPから)
スターバックスからも缶コーヒーが発売されています(スターバックスのHPから)

ホットコーヒーに氷入りカップ

 コーヒー党なら夏には冷たいアイスコーヒーが飲みたい! と思うものですよね。でも、実はアイスコーヒーって少し前まではアメリカではまったく認知されていなかったってご存じでしたか? 私が初めてアメリカに来た20数年前、ファーストフード店でアイスコーヒー(iced coffee)を注文すると、店員はとっても変な顔をしました。英語が通じなかったのかなと思いきや、出てきたのはホットコーヒーと氷が入ったカップ。その時は意味が分かりませんでしたが、アメリカではアイスコーヒーを飲む習慣がないことが後で分かりました。店員は文字通りの解釈で氷とコーヒーを出しただけだったんです。ネットで検索するとアイスコーヒーの発祥地は日本だったようで、当然ながらアメリカ人には知られていなかったんですね。

80年代後半~90年代初頭スタバが広めた

 アイスコーヒーがアメリカでも飲まれるようになったのは、スターバックスの存在が大きかったようです。1971年にシアトルで生まれたスターバックスは、80年代後半から90年代初頭にかけて全米に次々と店舗を拡大し、アイスラテやコーヒーフラペチーノなど冷たいコーヒードリンクも提供したことで、アイスコーヒーも認知されるようなってきました。今では町中のカフェやレストランでもアイスコーヒーを注文できるお店が増えていますが、どこに行っても必ず飲めるアイスティーと比べるとやはりまだまだマイナーです。ちょっと田舎に行くと、日本人が想像していたのとは違う甘ったるいコーヒーやミルク入りのものが出てくることもあるので要注意です。

アメリカではアイスコーヒーはまだまだ飲める場所が限られています(スターバックスのHPから)
アメリカではアイスコーヒーはまだまだ飲める場所が限られています(スターバックスのHPから)

日本と異なる焙煎方法

 しかも、日本ではアイスコーヒー用に焙煎されたコーヒー豆を使っているのでコクがあってとっても美味しいですが、基本的にこちらのアイスコーヒーは氷に普通のホットコーヒーを入れただけのものが主流。当然ながら時間が経つと氷が解けて味が薄まってしまうので、あまり美味しくありません。甘党の人はガムシロップを使うと思いますが、それもアメリカでは一般的ではありません。なので、普通の砂糖か甘味料を入れて混ぜるため、沈殿して最後の方は甘すぎるなんてこともあります。

缶や瓶入りを次々販売

 そんなアメリカでは、日本のように種類も豊富で気軽に買える缶コーヒーもメジャーではありません。自動販売機が普及していないこと、コンビニがないこと、コーヒーショップがたくさんあるのでわざわざ缶コーヒーを買う必要がないことや、オフィスにはコーヒースタンドがあり、無料で飲める場所が多いことなどが理由として考えられます。それでも、最近はスターバックスをはじめとする大手メーカーが、缶コーヒーや瓶入りコーヒーを次々と発売しており、店頭やスーパーなどでも購入できるようになってきました。

冷水で淹れる水出しのアイスコーヒー

 そんな中、今、一大ブームを引き起こしているアイスコーヒーがあります。その名も「コールドブリュー」と呼ばれる冷水で淹(い)れる水出しのアイスコーヒーです。サードウェイブの人気コーヒーショップが次々と販売を始め、セレブ御用達スーパーにはコールドブリューのコーナーまであります。ということで、次回はコールドブリューについてじっくりと紹介したいと思います。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真はスターバックスのHPから)