【シカゴ(米イリノイ州)7日(日本時間8日)=四竈衛】カブス今永昇太投手(30)は、パドレス戦に登板し、今季最長の8回途中、最多の102球を投げて2失点と力投したが、勝敗はつかなかった。

7回を無失点に封じた時点で95球。これまでなら当然交代だった。だが、ベンチは今永に後を託した。結果的に8回に逆転2ランを浴び、表面上は失敗だった。だが、悔しさが募る一方で、今永の解釈は違った。「8回のマウンドに上がる信頼をこの7試合で得られたというのが、僕としては価値がある。そこは自信にしていいと思います」。カ軍がサヨナラ勝ちした好ムードもあり、力強く言った。

6回1死一、二塁のピンチでは、打ち取った邪飛を捕手と一塁手が交錯して落球(記録は一失)した。だが、迎えた4番マチャド、5番ボカーツの主軸を連続空振り三振。両拳を握りしめた今永の雄たけびに、地元ファンも熱狂した。味方のミスは、失点につなげない。「そういうことをやっていれば、自分が不調の時に、だれかが集まって来てくれると思う」。DeNAで培った「エース」のメンタリティーを米国1年目でも存分に発揮した。

味方が同点に追い付いたことで「無傷」だけでなく、登板日7連勝とカ軍の「不敗」も継続した。それでも、「自分は未完成」「気付いたらうまくいっているのがほとんど。たまたまが重なっている感覚」と、確信も過信もない。好結果に左右されず、自らの状態を客観視する今永に、不安材料は見当たらない。

▼カブス今永は7回0/3を1四球、自責点2で、通算では防御率1・08。1912年にナ・リーグで防御率が公式記録となって以降、カブスで最初の先発7試合(救援を挟まない)では63年エルズワースの0・91に次ぐ球団2位。MLB公式サイトのラングス記者によると、デビューから7先発で防御率1・08&5四球は、両リーグで防御率が公式記録となった1913年以降で、短いイニングを投げるオープナーを除いて両リーグで初めて。