<女優 泉ピン子(66)>

 顧問会議のメンバーに選出されるにあたり、女性目線の声を期待されていると言われたんですけど、とにかく日本人の優しさや思いやり、強さを示す五輪であってほしいと思っています。

 まず、東日本大震災で親を亡くした悲しい思い出のある子供たちに、1ついい思い出を作ってあげたいんですよ。たとえば開会式や閉会式に優先的に呼んであげたり、できるだけ多くの子供たちが聖火ランナーを務めたり。よくあることだけど、最後に有名な1人のメダリストが聖火台に点火するというパターンじゃなくて、そうした子供たちが大勢参加してやってもいいと思う。これは私の夢。できたら全員招待してあげたいくらい。

 それから、何だかスーパーカーみたいな形の会場も、地震の国ですから後々、避難所などに使えるようなことを考えてほしいわね。あとは会場のトイレ。球場や何とかドームとか、結構、トイレが少なくて遠いし、その上、行列ができるでしょ。私も6年後は72歳なんですよ。年を取るとトイレが近いんですから。何十カ国も出てくる開会式なんかは何時間もかかって大変ですよ。お願いだからトイレは並ばなくてすむようにしてほしいわね。車いすの方も介添人の方と一緒に入れるようにするとかね。人に優しい会場と大会になったらいいわよね。

 女性目線で言えば、開会式と閉会式は格好良くやってほしい。ロンドン五輪も格好良かったし、ブラジルのワールドカップも格好良かったでしょ。それに比べると、日本の過去の五輪でちょっと残念な演出の印象が残っているのもあったりするので。日本には、世界的な映画監督だっているし、すごいプロデューサーがたくさんいるんだから。もめないで1つになってやってほしいわよ。みんなが知恵を出せば絶対にいいセレモニーができるはずです。

 年の話と言えば、開会式を見るために顧問会議のメンバーに決まってからプールの中を歩いたりしてますよ。せっかく顧問会議のメンバーに選ばれて東京五輪前に死ぬわけにはいかない。東京五輪まで頑張って生きるぞ !

 絶対に言っておきたいのは、知り合いだからと言って、私に五輪のチケットを頼んでこないでください。今から言っておきます。誰からも受け付けません(笑い)。(取材・構成=中野由喜)(2014年8月20日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。