平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子個人で、羽生結弦(23=ANA)が66年ぶりの連覇を成し遂げた瞬間を目の当たりにして、地元韓国の“ユヅ女子”も歓喜に湧いた。

 平昌五輪にボランティアとして参加し、江陵カーリングセンターで活動しているユ・チンさんは、羽生が最初に金メダルを取った14年ソチ五輪を見て、とりこになった。「羽生君がソチ五輪で金メダルを取った時、私は中学生で、図書館で勉強していて、記事を見ました。私も羽生君の(スケートに取り組む姿勢の)ように一生懸命、勉強して大学に行こう」と勉強して名門・ソウル大に進学し、機械工学を専攻。中学時代から学校に通って、日本語の勉強しており、会話も出来る。

 この日もボランティア活動の予定で、フリーの観戦後、すぐに江陵カーリングセンターに移動する予定だった。それが、大会関係者の間で感染が拡大し、問題視されているノロウィルスに、ルームメートが感染した疑いがあり、ボランティアの関係者から休養を命じられたという。ユさんは「羽生君の試合を見てから、カーリングのボランティアに行く予定でしたが(ボランティアの)マネジャーから電話が来て(感染予防のため)休むように電話がきました」と、羽生の演技をじっくり見られたことを喜んだ。そして「羽生君に一言、言いたい…いつか会いたいです!!」と笑みを浮かべた。

 一方、羽生が11日に仁川空港に到着した際も空港に駆け付けたカン・ソミさんは、羽生の連覇に涙が止まらなかった。「最後までケガなしで、とってもいい演技を見せてくれて、うれしいし幸せ。自分の国で、こんな大きな大会で、66年ぶりの連覇は特別じゃないですか」と言い、涙した。

 この日は、羽生が演じ、身にまとった「SEIMEI」の衣装を着せた手作りの羽生人形を、演技が終わった直後にリンクに投げ込んだという。カンさんは「全て彼が努力した結果。ユヅ君、ありがとう」と羽生に感謝した。【村上幸将】

羽生結弦の連覇に涙する韓国のカン・ソミさん(撮影・村上幸将)
羽生結弦の連覇に涙する韓国のカン・ソミさん(撮影・村上幸将)