<キリンチャレンジ杯:日本1-1米国>◇1日◇ユアスタ

 なでしこジャパンが、FIFAランク1位の米国と互角以上の戦いを被災地仙台で披露し、1-1で引き分けた。前半32分にDF近賀ゆかり(27=INAC神戸)が先制するなど、前半から持ち味のパスワークに加え、ゴールに向かう強い意識を示した。エースMF沢穂希(33=INAC神戸)抜きでも、米国戦3戦負けなしに、佐々木則夫監督(53)も「前進した」と手応え。悲願のロンドン五輪金メダルへ、また1つステップアップした。

 「前進なでしこ!」。佐々木監督は満足な表情で米国戦を表現した。「耐えるところを耐えて、持ち味の攻撃をアグレッシブにやれた。何よりも、東北のみなさんに勝利を届けたかったが、そこは残念。ただ、宮城での試合はロンドンに向けて価値ある試合になった」と充実感に満ちていた。

 アルガルベ杯以上にパスをつなぐサッカーを意識していた米国。日本はそれをあざ笑うかのようなパス回しを見せつけた。永里、川澄の豊富な運動量で前線からプレスをかけ、阪口、田中の“浪速のボランチ”で攻撃を寸断。そこから速いパス回し。前半32分に奪ったDF近賀の先制点は、2月の和歌山合宿から「さらに上を目指す形」と指揮官が要求してきた、ポジションを追い越した連動で得点を奪う理想の形だった。

 「ボランチ2人は間を持ちながら、細かいパスでサイドチェンジができた。数多くつなぐ中でミスはあったが、前を向くことに取り組んでくれている。矢野も熊谷とのバランスがよかった。今の段階では満足」。MF沢、DF岩清水というチームの核を欠く中での収穫に佐々木監督もニンマリだ。

 MF阪口も「(ボールを)前に出せる視野の広さは手応えがあった。(米国には)ちょっと前まではどうやられてしまうかという感じ。でも今は何ができるかに変わっている」と笑った。PK勝ちを含む3連勝はならなかったが、W杯後は米国戦を楽しむ余裕も選手に生まれている。

 唯一の失点シーンもわずかなミス。自軍ゴール方向へのクリアボールを拾われた田中は、「前を向いてクリアする意識があれば問題ない」と話した。良性発作性頭位めまい症でリハビリ中の沢の代役ではなく「沢さんが戻ってきても認められるようになりたい」と、意識が変わってきたことが最大の底上げでもある。

 次は5日に世界ランク4位のブラジル戦に臨む。「質の高いチームとできるようになったことで自信を持って慌てないでプレーできるようになった。世界の強豪国に育てられていることが大きい」と佐々木監督。「今日は結果を出せなかったので神戸では(キリンチャレンジ杯)カップを掲げるシーンを見せます」と宣言した。【鎌田直秀】