稲本が帰ってきた。右膝前十字靱帯(じんたい)断裂で手術を受け東京都内でリハビリを続けていたJ2札幌MF稲本潤一(36)が14日、札幌・宮の沢でのトレーニングを開始した。今季中の戦列復帰は絶望も「リハビリをやりながらでも、見て感じたことを言うなりして貢献できれば」と、まずはピッチ外からの“ご意見番”として経験を注入し、J1昇格をサポートしていく。

 6月24日の手術から2カ月半、MF稲本がしっかりと1歩を踏み出した。14日は札幌・宮の沢のクラブハウス内で筋力トレーニングとマシンを使った屋内ランニングなど、約2時間、汗を流した。クラブハウスを出る際は、5段ある玄関前階段を、とんとんとんと軽やかなステップで駆け降り、気さくにファンサービスにも応じた。

 右もも裏からの腱(けん)移植手術を受け、術後の経過は順調。9日に都内の病院で検査を受け、札幌での調整に許可が出たが、さらに、この日のトレーニング後、クラブとして状態を把握するため、札幌市内の病院で再確認した。既に都内で屋内ランニングを開始しており「もう直線の動きなら、スピードも問題ない」と手応えを口にした。

 仲間との再会が復活への活力になる。8月11日、ニッパツ三ツ沢球技場で横浜FC戦を観戦も、札幌で全メンバーと会うのは約3カ月ぶり。「みんな焼けている。自分だけ白いので、それが一番、印象的でした」と苦笑い。さらに、続けた。「この順位にいることで、みんな充実した練習ができている。そこにどういう形で関われるか。リハビリしながら、見て感じたことを言えるように」。ピッチには立てなくとも残り11戦、経験と知恵を注ぎ、J1昇格をアシストする。

 早ければ今日15日にも屋外でのランニングを始め、今後は膝の可動域を復元し、落ちた筋力を上げていく。佐川和寛トレーナー(39)は「予定通り。今は直線の動きだけだが、術後4カ月たてば制限も取れる」と、10月下旬にはボールを用いた練習も加える方針だ。

 クラブとは来季残留で合意しており、順調なら来年1月のキャンプスタートから全体合流する。今季は4月23日C大阪戦で移籍1号となる決勝点。ここからという6月4日千葉戦で負傷し、残り試合を棒に振った。この悔しさは来季、自身3年ぶりのJ1舞台で、一気に爆発させる。【永野高輔】

<今季の稲本アラカルト>

 ▼2月28日 開幕東京V戦に先発出場も0-1黒星。

 ▼4月23日 第9節C大阪戦(札幌ドーム)の後半33分から途中出場。0-0の同37分、FW内村のパスを右サイドから流し込み決勝点。移籍1号を挙げる。

 ▼6月4日 第16節千葉戦(同)で5試合ぶりに先発も、前半17分に相手選手と競り合った際、右膝を負傷して途中交代。

 ▼同5日 札幌市内の病院で精密検査を受け、右膝前十字靱帯断裂で全治8カ月と診断される。

 ▼同24日 東京都内の病院で腱(けん)移植手術を受ける。

 ▼8月11日 第28節横浜FC戦に訪れチームを激励。試合は0-1で敗れる。