J2C大阪ひと筋14年目のDF酒本憲幸(32)が、3年ぶりJ1復帰に導く。明日4日の昇格プレーオフ(PO)決勝岡山戦に向け、2日は舞洲練習場で調整。初芝橋本高から03年にC大阪入りし、浮き沈みを味わってきた酒本が、心の底から言った。「俺は長くセレッソにいるだけで、まだ何もしていない。今まで、全部悔しいで終わってきた。今回はみんなで大喜びしたい」。

 森島、西沢、大久保(現川崎F)香川(現ドルトムント)…。多くの看板選手とプレーしてきた。1年目には天皇杯決勝磐田戦で目前で優勝を逃し、05年にも最終節東京戦でJ1初制覇が消えた。「あの時の景色は思い出します。(決勝で敗れた)昨年のPOも絶対に忘れられへん。たまには『よかった』で終わりたい」。C大阪の歴史を知るからこそ昇格への思いは誰よりも強い。

 流れを変えるため「残り20分頃」からの途中出場が役割だ。本職はサイドバックだが中盤の右にコンバートされ、攻守においてカギを握る存在となる。同じく途中出場が濃厚な岡山FW豊川には5月28日の対戦でゴールを許しており「若さと勢いがある。でも、アイツの動きは頭に入っている。(パスの)出どころを抑えたい」。生涯セレッソを公言する酒本が、思いの全てを大一番にぶつける。【益子浩一】