新潟に移籍したDF矢野貴章(32)が12日、5年ぶりに新潟の一員として始動した。聖籠町のクラブハウス練習場で行われた今季初練習に合流。名古屋から移籍の矢野にとっては、12年以来の新潟復帰となる。前回在籍時はFWだったが、今季は名古屋で経験を積んだサイドバックでプレーする。新潟サポーターにその姿を見せるためのスタートを切った。

 5年ぶりに新潟のジャージーを身に着けての練習は、気温2度、みぞれが降る悪天候に見舞われた。室内での筋トレ後に約50分間、ピッチでランニングをした。ときおり強風が吹くが、表情を大きく変えることはない。

 「懐かしく、新鮮な気持ちもした」。いてつく寒さも、芝生の感触もどことなく安心させるものだった。それもすぐに通常モードに切り替わる。「長い間ここでやっていましたから。つい最近までいたような感じになった」。15年目を迎えるプロ生活で、「いちばん早い始動日」(矢野)の1月12日を、淡々と気負いなく終えた。

 これまでFWとして新潟に在籍したが、今回はサイドバックとして加入した。13年に移籍した名古屋で転向したポジションだ。「そこを評価して、期待されたことはうれしいです」。187センチの長身で、アップダウンをひた向きにこなすサイドバックのプレーを、今季は新潟の選手としては初めて披露する。

 10日に新潟入りし、11日に新体制会見に出席。じっくりと体を動かす時間は少なかっただけに、「まだ自分のことで精いっぱい」だと言う。まずはコンディションづくりが最優先。16日からの台湾、30日からの高知キャンプでアタッカー陣の特徴をつかんでいく。

 「新潟とは縁があると思う」とも言う。06年に柏から新潟に移籍した。10年にフライブルク(ドイツ)に移籍後、12年に新潟に復帰。そして今回、名古屋から復帰。新潟への移籍加入は合計3度目で、復帰は2回目。新潟での通算在籍年数は自身最長の7年目になる。

 「期待を感じている。結果を残したい」。引き寄せられるように戻った新潟で、成長した姿を見せるシーズンが始まった。【斎藤慎一郎】