W杯のサッカー熱を、東北の2クラブが加速させる。J1で初となる「みちのくダービー(17日、NDスタ)」を盛り上げるべく、J1山形と仙台が史上初めて共同会見を開く準備があることが6月30日、分かった。8日に両チームの選手代表が、全国的な名勝地「山寺」に集結する。

 両クラブが99年にJ2参入後、プライドをかけて戦うダービー。J1で初の決戦ムードを高めるべく、山寺の切り立ったがけが眼前に迫る場所を、会見場に調整している。「奥の細道」の松尾芭蕉も訪れた厳かな空間で、戦いの前の静けさが岩にしみいるはずだ。

 チームが切磋琢磨(せっさたくま)して、成長を目指すことは継続する。一方で、今回の企画を足がかりに、両フロントが組み「東北全体の活性化」を担う気概もある。すでに両県の観光地や宿泊地などが意見交換し合う経済界での「仙山交流」はスタートしているが、スポーツの側面から、地域活性プロジェクトを考案することも視野に入る。

 例えば海外の、特に欧州の強豪クラブを招待しマッチメークするには、多額な資金が必要になる。だが、2クラブで共同出資すれば、実現の可能性は大きくなるはずだ。多くの観戦者も見込め、両県どころか東北全体に経済効果が波及する。まずは共同会見という細道でも、タッグの仕方次第で、地域活性の可能性は無限大だ。【山崎安昭】