【ミラノ(イタリア)30日=益子浩一、波平千種通信員】CSKAモスクワ(ロシア)の日本代表MF本田圭佑(23)が、W杯前哨戦に挑む。31日(日本時間4月1日未明)の欧州CL(チャンピオンズリーグ)準々決勝・第1戦で強豪インテル(イタリア)と対戦する。本田は敵地入りした29日に左足首を打撲したが、日本人では初の大一番へ強行先発が濃厚。W杯南アフリカ大会で対戦するカメルーン代表FWエトー(29)オランダ代表MFスナイデル(25)擁するインテルから金星を挙げる。

 今の本田には、突然のアクシデントさえはね返してしまうだけの力がある。現地入りした29日、インテルの練習場で行われた調整で左足首を負傷。別メニュー調整になったが、日本人で初めて立つ欧州CL・準々決勝の大舞台に気持ちは向いている。本田は「ただの軽い打撲です。(インテルの本拠地)サンシーロでの試合を欠場するわけにはいかない。出る準備はできている」と言い切った。

 まさにW杯前哨戦だ。セリエAで首位を走る強豪インテルには、日本が1次リーグで対戦するカメルーンのエース・エトー、オランダの司令塔スナイデルがいる。急成長を遂げる本田の力が現時点でどこまで通用するか-。決勝トーナメント初戦セビリア戦(16日)で決勝FK弾を決め、ロシアリーグでも3戦2発をたたき出した本田には現地でも注目が集まる。30日付の現地紙は、脅威的なFKを「殺人的な左足」と表現。ガゼッタ・デロ・スポルト紙は顔写真付きで紹介した。

 第2戦(4月6日)を戦う本拠地モスクワでは、29日に連続地下鉄爆破テロが起きた。悲劇が発生した直後にチームはミラノへ移動。30人以上の死者が出たことは現地で伝え聞いたという。選手は喪章を付けてインテル戦2試合に臨む方針で、スルツキ監督は「モスクワの街は泣いている。我々の国のために、そして我々の栄誉のために、明日の試合では全力を尽くして戦う」と悲壮感を漂わせた。

 本田の相棒クラシッチも「インテルが勝つと予想されているが、我々はカウンターを駆使してチャンスを作る。相手を驚かせることも用意している」と宣言。モスクワに歓喜を、日本に希望を呼ぶことができるか-。負傷を抱える本田の左足に、欧州4強の夢が託される。

 [2010年3月31日8時55分

 紙面から]ソーシャルブックマーク