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 岡田ジャパンが東アジア選手権(2月6日~14日)で、W杯南アフリカ大会へ弾みをつける。日本代表チームは1月25日から鹿児島・指宿合宿で国内主力組を入れて本格始動した。FW平山相太(24=東京)ら新戦力が加わり、代表チームはW杯本番を控えて、緊張感と競争意識にあふれている。その中で迎える東アジア選手権は国内組選考としては最高の試金石となる。念願の初優勝を果たし、ベスト4を目指す本番へ勢いをつけたい。

平山、試金石だ

先月のアジア杯最終予選イエメン戦でハットトリックを達成した日本代表FW平山相太。東アジア選手権でも大暴れが期待される
先月のアジア杯最終予選イエメン戦でハットトリックを達成した日本代表FW平山相太。東アジア選手権でも大暴れが期待される

 大久保の平山を狙い澄ましたようなクロスに、平山は山なりのクロスの頂点で合わせた。まるでバレーボールのスパイクのような、見事なタイミングではじき出されたヘディングシュートが決まった。圧倒的な高さと力強さに、報道陣からため息がでた。

 キャンプ3日目の1月27日、紅白戦(20分ハーフ)で控え組に入った平山は、打点の高さで結果を出した。「自分がほしいところにボールが来る。ピンポイントでした。すごく楽しいです」。フル代表の合宿は実質初のことだが、実戦で得点し、それも持ち味のヘディングで奪ったことに、平山も遠慮気味に表情をゆるめた。岡田監督も「得点したことは良かった」と、辛口ながらも評価したところに、平山に期待するチーム全体の前向きな空気がにじんでいた。

 平山は日本代表にとって念願の大型FWとして大きな期待が寄せられている。大型FWとして高校選手権優勝で鳴り物入りで、ヘラクレスに入団。1年目に8得点を挙げたが、言葉の問題もあり翌06年に東京へ移籍した。その後は、好不調の波があり、08年の北京五輪のメンバーから外れるなど精彩を欠いてきた。

 そんな平山に追い風が吹いた。日本協会が進めてきたマッチメークのスケジュールが狂った。1月下旬に変更予定だった、1月6日のアジア杯予選イエメン戦(サヌア)が、当初の予定通りに行われることになり、平山にチャンスが巡ってきた。

 その幸運を見事つかんだのは平山自身の勝負強さだった。0-2の劣勢で途中出場するとハットトリックを決めて逆転勝利する殊勲の働きを見せた。この結果に、W杯メンバーをほぼ固めてきた岡田監督も心を動かされた。下旬の指宿合宿メンバーに、DF村松とともに平山を抜てき。その中で「彼のやる気は、代表に割って入るだけのものを感じる」と、慎重な岡田監督としては異例の前向きな発言をして注目を集めた。

 元旦に大阪に集合し、テロの脅威もあったイエメンに出発する際、平山は「サッカーで死ねるなら本望」と言い放ち、不安なムードを一掃した。強い決意で3点を奪い、ようやく頭角を見せ始めた希望の星に、W杯メンバーの座ははっきりと見えるところまで来た。

復帰小笠原「とても新鮮」

日本代表に復帰したMF小笠原満男
日本代表に復帰したMF小笠原満男

 東アジア選手権最大の目玉はMF小笠原の岡田ジャパンへの融合になるだろう。ここまでの岡田ジャパンは中村俊、大久保、松井、中村憲でトップ下をこなし、遠藤、長谷部のボランチと、ほぼメンバーは固まりつつあった。そこに、実績もあり、他の選手への影響力も強い小笠原が加わった。「代表は自分が戻りたかった場所。今はとても新鮮な気持ちでやれている」と充実感を強調した。

岡田監督「代表にマンネリはない」

代表合宿で平山相太(左)をマンツーマンで指導する岡田武史監督
代表合宿で平山相太(左)をマンツーマンで指導する岡田武史監督

 岡田監督は年初の鹿児島・指宿合宿で大きなチャレンジを試みた。存在感をみなぎらせるMF小笠原を、長身FWの平山、そして課題のセンターバックとしてDF村松をフル代表に初めて呼び寄せた。「今の日本代表にマンネリはない」と自信を持って言い切る岡田監督が新戦力の加入によってさらにもう1ランクのレベルアップを狙っていた。

 総勢27選手を招集し、東アジア選手権メンバーの23人に絞り込んだ。そこに選手同士の生き残りをかけた練習からの激しい競い合いを当然想定してのことだった。合宿3日目にして紅白戦を行い「ゲーム感覚を取り戻させたかった」と、急ピッチで仕上げに入った。すべては、より実戦的な中で選抜を進めていきたい岡田監督の本音が見え隠れした。

 W杯南アフリカ大会のメンバー発表は5月中旬。国内組の最終選考は3月3日のアジア杯予選バーレーン戦、4月7日の親善試合が最終的なチェックの場となる。2月はベネズエラ戦を含め4試合続けてチェックができる。W杯岡田ジャパンの骨格はこの東アジア選手権で出来上がると言っていい。

ライバル韓国、本気モード

前回大会の男子は韓国が優勝。「アジアの虎」は2大会連続3度目のVを狙う
前回大会の男子は韓国が優勝。「アジアの虎」は2大会連続3度目のVを狙う

 最大のライバル韓国が、本気で連覇を狙う。今回は、イ・グノ、パク・チュホ(ともに磐田)、イ・ジョンス(鹿島)、カク・テヒ(京都)のJリーガー4人を含む国内組中心でメンバーを組んだ。今月の南アフリカ、スペイン遠征を終えた許丁茂監督は、今大会に向けた代表を発表するめでたい席で「今回のメンバーは欧州組に見習うことがたくさんある。南ア、スペインでの経験を生かして成長した姿を見せてほしい」と厳しいコメントを並べ、奮発を促した。

 選手たちにとって今大会は、南アフリカへの生き残りをかけたサバイバルでもある。結果を出さないと、W杯本大会には行けない。初めて代表に選出され、南アフリカ、スペイン遠征で左サイドとして結果を残したパク・チュホは「今回初めて代表に入って、頑張れば(W杯メンバー入りの)チャンスあると思う。サッカー選手であれば誰でも、W杯出場は夢です」と気合十分だ。

 イ・グノは、オフシーズンの休養を優先させるため、南アフリカ、スペイン合宿は免除されたが、安心できる立場ではない。ベテランFW李東国が、負傷から復活し昨季Kリーグ得点王になり、代表に返り咲くなど、競争はさらに激しくなった。「東アジア選手権はW杯に向けて大事な大会になる。本大会に出られるように頑張りたい」。

 東アジアの王者死守とW杯チケット。二兎(にと)を追う韓国イレブンが、日本のピッチを駆け回る。

◆男子見どころ 過去3大会連続2位の日本は、初優勝を目指す。最大のライバルは同じW杯出場組の韓国。昨季Kリーグ得点王の全北FW李東国ら国内組にJリーグ勢を加えたメンバー構成になる。韓国は1月に南アフリカ、スペインに約3週間遠征。フィンランド、ラトビアに勝つなどチーム状態は上向きだ。W杯を逃した中国は、若手にチームを切り替えて出場。予選でW杯組の北朝鮮を退けた香港も、決して楽な相手ではない。前回大会も総得点の差で2位に甘んじた日本だけに、ゴールを稼ぐことも必要になる。

なでしこ岩渕代表デビュー

なでしこジャパンに初招集されたFW岩渕真奈のプレーにも注目(1月1日の全日本女子選手権決勝・浦和対日テレから)
なでしこジャパンに初招集されたFW岩渕真奈のプレーにも注目(1月1日の全日本女子選手権決勝・浦和対日テレから)

 なでしこジャパンの未来を担うFW岩渕真奈(16)が、ついに代表デビューする。08年U-17女子W杯MVP、09年U-19アジア女子選手権MVP、2年連続AFC年間女子最優秀ユース選手など数々の勲章を手にしたエース候補は、初の代表合宿に「うれしいし、頑張りたい」と話した。

 武器は「スピードに乗ったドリブル」(岩渕)。153センチの身長は代表で最も小柄だが、低い重心でDFの足もとを縫うように抜くのは、アルゼンチン代表のメッシのようだ。まだまだ代表でのプレーは未知数だが、力を出し切れば日本が目指すW杯制覇の切り札になる可能性もある。

 韓国代表FW池笑然との対戦も楽しみ。15歳で代表デビューした池は、U-19アジア選手権でも、AFC表彰でも最後まで岩渕と争った逸材。強烈なシュート力を武器に、韓国女子サッカーを引っ張っている。

◆女子見どころ FIFAランク5位と6位の日本より高い北朝鮮の出場辞退はあったものの、東アジア女子のレベルの高さは変わらない。各国にとっては、11年W杯ドイツ大会の予選を兼ねるアジア杯(中国)の予行演習にもなる。連覇を狙う日本のライバルはランク13位の中国になるが、急激に力をつけてきた21位の韓国も不気味。韓国は1月に米国で強化合宿をし、U―23米国代表に快勝するなど調子を上げている。また、今大会は男子との同日開催となるため、女子サッカーをアピールする場としても注目される。

大会概要

◇東アジア選手権2010決勝大会、東アジア女子選手権2010決勝大会開催要項◇

記者発表で大会の成功を誓う東アジア連盟小倉純二会長(左から3人目)日本代表岡田武史監督(右から2人目)ら関係者
記者発表で大会の成功を誓う東アジア連盟小倉純二会長(左から3人目)日本代表岡田武史監督(右から2人目)ら関係者

◆主催 東アジアサッカー連盟
◆主管 財団法人日本サッカー協会
◆大会形式
 4チームによる総当たりリーグ戦(各チーム3試合)。順位は全試合での(1)勝ち点数(勝ち3、引き分け1、負け0)(2)得失点差(3)総得点数の大きい順で決定。複数のチームが並んだ場合は当該チーム間の(1)勝ち点数(2)得失点差(3)総得点数の大きい順で決定。当該チームが2チームで両チームがピッチ上に残っている場合は、PK方式で決定。なお、当該チームの対戦結果次第では、優勝チームが複数となる場合もある。
◆賞金
 【男子】1位50万ドル(約4500万円)、2位30万ドル、3位20万ドル、4位15万ドル
 【女子】1位5万ドル(約450万円)、2位3万ドル、3位2万ドル、4位1万5000ドル
◆テレビ放送 フジテレビ系列


東アジア選手権・東アジア女子選手権日程
日程開始男女カード会場
2月6日15:30日本-中国味スタ
19:15日本-中国
2月7日16:30韓国-台湾国立
19:15韓国-香港
2月10日16:30中国-韓国味スタ
19:15中国-韓国
2月11日15:15日本-台湾国立
19:15日本-香港
2月13日12:30台湾-中国味スタ
15:10日本-韓国
2月14日16:30香港-中国国立
19:15日本-韓国



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