<男子ゴルフ:つるやオープン>◇3日目◇23日◇兵庫・山の原GC山の原C(6770ヤード、パー71)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)

 石川遼(19=パナソニック)が、伸び悩んだ悔しさを最終日にぶつける。69にとどまり通算8アンダーの暫定13位となった。12番途中で、強い雨のため5時間32分競技が中断。その最中に雨天練習を敢行する執念を見せた。首位と6打差で迎える最終ラウンドで大逆転Vを狙う。

 異例の雨中特訓だった。豪雨で競技中断が決まり、各選手がクラブハウスに戻って待機する中、石川はクラブを持ち出し、ただ1人練習場へ向かった。約3時間、全身ずぶぬれになりながら、懸命に球を打った。

 自らのレベルアップ、そして雨の中で応援に駆けつけたファンのためでもあった。「誰も選手がいなかったですから。中断になると、何もできない。練習を見てギャラリーの方が楽しいかどうかは分からないけど、すごくたくさんの人が残っていてびっくりした。一石二鳥ですね。自分のためにもなった」。昨年の今大会、雨で中止が決まった後に練習場で球を打って、ファンを沸かせたのが“ドン”杉原輝雄。この日の石川は、体調不良で療養中の大先輩のサービス精神を引き継いだようだった。

 5時間32分の中断後、12番の第2打から再開したプレーではスコアを伸ばせなかった。「全く話にならない内容。ちょっと悔しい」。終了後も、寒さが増した日没後まで、半袖姿で居残り練習した。暫定首位近藤との差は6打。小さくない差だと分かっているが、昨年中日クラウンズ最終日に、奇跡の58で6打差を大逆転した実績もある。

 「何とか早い段階で2けたアンダーにいって、後半を迎えたい。納得できる終わり方ができるように頑張ります」。猛特訓の成果を発揮するチャンスは、まだ18ホール残っている。【木村有三】