<男子ゴルフ:カシオワールドオープン>◇初日◇24日◇高知・Kochi黒潮CC(7280ヤード、パー72)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 石川遼(20=パナソニック)がプロの意地でライバルに完勝した。2週前に史上3人目のアマチュア優勝を飾った松山英樹(19=東北福祉大2年)との直接対決。初日は4バーディー、2ボギー、2アンダーの70で8位と好発進した。一方の松山はプロツアーでは自己ワーストの9オーバー81で最下位の105位。アマチュアの同学年ライバルに対し、プロ4年間の経験の差を見せつけた。宮里優作(31)が7アンダーで単独首位に立った。

 プロの貫禄だった。最終9番パー4。石川はグリーン前の右バンカーからのアプローチをピンそば50センチに寄せた。ボギーのピンチを乗り越えパー死守。大歓声の中、11打差つけた松山と握手。ラウンド後は「(松山)英樹のプレーには興味があった。スイングのいい面は参考にしたい」と、余裕のコメントを残した。

 スタートの10番はともにバーディー発進も、12番で明暗が分かれた。松山は第1打を大きく右に曲げてOB。2オンに成功した石川は12メートルのバーディーパットをねじ込んだ。ダブルボギーとした松山に3打差をつけ、一気に流れをつかむ。その後は大崩れするライバルとの差を広げ「ワンサイドゲーム」に持ち込んだ。

 プロ4年目。国内外での経験を糧にしてきた。前週は世界選抜としてプレジデンツ杯(オーストラリア)に出場。技術、体力面で早速効果を発揮した。

 【技術】2番パー3。グリーン右バンカー上、左足上がりのラフからチップインバーディーを奪った。「海外トップ選手のアプローチを見て、想像力が湧いた。どうクラブを振ると、どうフェースに当たって、どう球は落ちるか。限られた時間で想像力を膨らませることができた。今季で一番アプローチで手応えを感じた」。

 【体力】土佐湾からの強風もあり、体感温度は10度以下。ギャラリーはダウンジャケットを身につけ、松山もセーターを着込む中、朝の練習から日没まで半袖で通した。前週、強い日差しで30度を超えることもあったオーストラリアでの熱気を残す。「先週からの熱が残って、冷めやらぬ状況。全然寒くなかった」。

 2週前に史上3人目のアマチュア優勝と勢いに乗る同学年ライバルに完勝し、8位の好スタート。残り2戦で連勝が条件の逆転賞金王へ、弾みをつける初日になった。【田口潤】