<男子ゴルフ:東建ホームメイト杯>◇初日◇12日◇三重・東建多度CC名古屋(7081ヤード、パー71)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)

 石川遼(20=パナソニック)が国内開幕戦で上々のスタートを切った。4バーディー、2ボギーの69で回り、首位と5打差16位につけた。風や地形に応じて臨機応変のプレーを披露。婚約表明直後で注目を集める中、予選ラウンドで無理な攻めをしない“大人のゴルフ”で、プロ5年目の成長ぶりを示した。額賀辰徳(28)が7アンダーの64で回り、首位に立った。

 握り締めた右手を頭上に1度、斜め上に向けてもう1度突き上げた。最終18番パー4。石川はショットの失敗が続いて3メートルのボギーパットを残したが、気合でねじ込んだ。国内開幕戦初日は2アンダーで16位発進。その顔にはスコア以上に充実感が漂っていた。

 石川

 すごくいい内容で回れたと思う。最後は外したら1アンダーに落ちていたけど、それもしょうがないと、どっしりと受け止めることができた。ゴルフはミスのゲーム。ミスをしても、そういう精神状態でいられたのは、あと3日間楽しみ。

 心と技の両面で、プロ5年目の成長ぶりを示した。8番パー4では、残り178ヤードの第2打を5番アイアンでピン右3メートルに付けてバーディー。強い逆風の中、右に曲がりやすいつま先下がりの地形を利用して、左から右に大きくスライスをかけて距離を調節した。予選ラウンドへの臨み方も変わってきた。以前はスタート前に2度練習場に出掛けて、初日の1番から全力で飛び出していた。しかし、経験を積み、4日間のペース配分を把握し始めた。

 石川

 初日からガツガツ行くのは難しい。初日、2日目はフェアウエーの状態も、グリーンもチェックしたい。ピン位置によってはグリーンセンター狙いでもいい。苦手なホールもパーでまとめるプレーを明日まではしたい。

 決勝ラウンドを見据えた「大人のゴルフ」へ移行する中でも、鍛錬は怠らない。プレー後は、3時間近く球を打ち続けた。球の打ち出し角やスピン量、正確な距離が一目で分かる米国製の最新器具「ゲームチェンジャー」も国内初導入。世界ランク2位マキロイらも使用する約50万円の高性能マシンで、チェックした。

 先週のマスターズは予選落ちしたが、直後の8日に幼なじみとの婚約を発表した。気分転換のために今大会から使い始めたT字形センターシャフトの新パターと、糸を練り込んだ新グリップの感触も上々だ。「自分の好きなように、自由にやれている。スイングにもすごい手応えを感じている」。“助走期間”の予選2日間で勢いをつけ、開幕戦Vを視界に入れる。【木村有三】

 ◆石川の昨季ラウンド別平均スコア

 初日は70・8、2日目は70・5、3日目は70・1、最終日は69・4。入れ込み過ぎるためか初日が最も悪い。予選2日間でいかに良いスタートを切るかが、10年11月三井住友VISA太平洋マスターズ以来の優勝へのポイントと言えそうだ。