石川遼(21=パナソニック)がゴルフ用品メーカーのキャロウェイ、ダンロップスポーツ両社と、年間総額8億円の超大型契約を結ぶことが決定的になった。クラブやウエアはキャロウェイと年間6億円の2年契約。ダンロップスポーツとは、ボールだけで同2億円という破格の契約金となった。プロ転向以来のヨネックス社とのクラブ、ウエア契約は来年1月末まで残っていたが、同社の厚意で期限を1カ月前倒し。1月の米ツアー本格参戦は、初戦から「新体制」で臨む。(金額はすべて推定)

 競技の枠を超えたスターにふさわしい、日本ゴルフ史上例を見ない超大型契約となった。08年以来のヨネックスとの契約が、来年1月いっぱいで切れるため、石川はゴルフ用品メーカー各社から多くのオファーを受けていた。その中でまずキャロウェイとの総合契約が浮上。そして調整の最終段階で、ボールはこれまでも使用してきたダンロップスポーツとの契約更新と、方向性が定まった。

 特にクラブとボールは、道具のスポーツとも言われるゴルフでは、プレーの質を決める重要なファクター。石川は契約金の額と同等かそれ以上に、用具との相性を慎重に吟味してきた。キャロウェイのクラブは、テスト時にショット飛距離、スピン量など、石川との抜群の相性の良さが数値に表れていた。試合がない週も、キャロウェイのクラブを使いたいあまり、急きょ練習ラウンドを組むほどのほれ込みようだった。

 もともと同社のパターブランド、オデッセイを多く使用してきたこともある。ウエア、ボールも含めた総合契約で、調整は進められた。そんな中、石川は11月の三井住友VISA太平洋マスターズで、2年ぶりにツアー優勝。ダンロップスポーツの「スリクソン」のボールとの相性の良さが、あらためて明確になった。

 ダンロップスポーツが、ボールだけで2億円という破格オファーを準備することで、石川との契約への熱意をみせたこともある。結果的に総額8億円という、日本ゴルフ史上に例をみない額で、新しい契約はまとまる方向性になった。

 手を挙げた7社のオファー総額は、30億円に達したとみられる。石川がスター性と実力を兼ね備えたトップ選手に成長し、価値を高め続けていることが、今回あらためて証明された。

 ◆ゴルフ界の主な大型用具契約

 タイガー・ウッズ(米国)がナイキと5年間で破格の106億円の契約、フィル・ミケルソン(米国)はキャロウェイと1年間あたり約10億円の複数年契約を結んだ。日本では過去に尾崎将司がワールドワンと5年10億円契約、丸山茂樹がブリヂストンスポーツと6年6億円、伊沢利光がブリヂストンスポーツと年1億5000万円で契約。女子ではミシェル・ウィーがナイキ、ソニー両社で年間11億円の契約、宮里藍はブリヂストンスポーツと3年1億円で契約したとされる(金額は推定)。