横峯さくら(29=エプソン)の米ツアー初優勝はならなかった。3位から出て4バーディー、4ボギーの72とスコアを伸ばせず、通算13アンダー275で8位に終わった。だが、これで次週のメジャー大会ANAインスピレーションの出場権を獲得。夫でメンタルトレーナーの森川陽太郎さん(33)との「二人三脚」の成果が出始めた。クリスティ・カー(米国)が通算20アンダーで今季初、通算17勝目を挙げた。

 最終日最終組の緊張感の中、横峯はスコアを伸ばせずに終わった。「グリーンに臨機応変に対応できていなかった」。前日まで好調だったパットが勝負どころで決まらない。1番で3メートル、2番で1メートルのパーパットを外してつまずいた。なんとか前半35と巻き返したが、10番で「一番悔やまれる」3パットボギー。12番でも3パットで勝機を失った。

 米ツアーの層の厚さも肌で感じた。同じ3位から出た37歳のカーが65を出し優勝。「日本だと守りながらのプレーで優勝争いができる。こちらはバーディー合戦。すごく良い経験をしたと思います」。充実感さえ漂わせた。何よりの収穫は次週のANAインスピレーションの出場権を獲得したことだ。「3戦連続予選落ちからトップ10に入ることができた。それで獲得した価値あるもの」と誇らしげだ。

 今季から本格参戦。前週まで「低い目標で、予選通過を目指してプレーして」3連続予選落ちした。今大会は森川さんと話し合い、目標を上方修正。「優勝を目指す」と堂々と公言した。これがはまった。「周りの目もありますし、私自身逃げられない。それを主人は狙っているというか」と笑った後、「メンタルトレーナーとして、主人はさすがだなと」とのろけた。

 だから、ANAインスピレーション出場権に必要な順位は知らずにいた。森川さんとの話の中で「そのラインを見ると、そこにいってしまう」と判断。あくまで目標は優勝で、「最後まで諦めない姿勢を貫きたいと」集中力をつないだ。

 土壇場でメジャー切符を手にし、「うれしい」と素直に喜んだ。「次のコースは何回かプレーしているので想像はつく。少しずつアメリカに慣れてきたのかなと思う」。昨年は、13年日本の賞金ランク2位の資格で出場して59位。今年は米ツアーの一員として、勢いに乗って挑めるはずだ。

 ◆ANAインスピレーション 今季最初のメジャーで、4月2日からカリフォルニア州ミッションヒルズCCで開催。昨年までクラフト・ナビスコ選手権の名称で行われていた。コースは変わらず、6769ヤード、パー72で飛ばし屋有利とされる。横峯は起亜クラシック終了時の賞金ランク80位以内かつ出場権のない者上位20人の資格で出場。宮里藍、宮里美香、上原彩子、野村敏京も出場予定。