日本ツアー参戦1年目のキム・ハヌル(26=韓国)が待望のツアー初優勝を手にした。

 「本当にうれしい。夢みたいです」。最終日は通算8アンダーの首位タイスタートから、5バーディー、1ボギーの68。「とにかく通算11アンダーまで伸ばそう。そうすれば…」と思い、16番で8メートルのフックラインを沈めて、目標を1つ上回る通算12アンダーでフィニッシュした。結果的に2位と1打差となったことで「まさか12アンダーが必要になるとは思いませんでした」とホッとした笑みを浮かべた。

 韓国で11、12年に賞金女王となり、昨年のQTを経て、今季から鳴り物入りで日本ツアーに参戦した。ところが、先週の日本女子プロ選手権の5位が初のトップ10。慣れない環境に苦しんだ末、ようやく優勝にたどりついた。

 韓国では、日本で人気沸騰中のイ・ボミと並び称される程の人気を誇る。そのイ・ボミと共通点は多い。大学が同じ建国大。家は車で15分のご近所さんとあって、昔から食事をともにする間柄だ。またイ・ボミが「スマイル・キャンディ」と呼ばれるように「スマイル・クイーン」と称され、会員数約1500人のファンクラブまである。ウエアはともにミニスカートが多い。「ボミは日本での先輩。人気も実力もあって、尊敬している」という。

 日本ツアーでの居場所も作りつつある。名前の「ハヌル」が韓国語で「空」を意味するため、ボールには「SKY」とロゴを入れ、ツアー仲間に「空ちゃん」と呼ばれている。日本食も好きになった。すし、すき焼き、納豆…。最近はコンビニ・スイーツにどっぷりはまり、中でもローソンのプレミアム・ロールケーキがお気に入りだ。

 音楽好きで、日本のアーティストでは「嵐」のファン。この日、同じ最終組で優勝を争った酒井美紀が熱狂的な嵐ファンで知られるが、酒井のキャディバッグにはられた写真を見て、楽しんだという。

 「米ツアーに行くことは考えていません。まず日本にもっと慣れて、日本でしっかりプレーしたい」

 日本勢を脅かす“韓流ツヨカワ系”がまた1人、覚せいした。