松山英樹(24=LEXUS)が7バーディー、2ボギーの67をマークし、通算10アンダー、206で首位と4打差の2位に浮上した。高速グリーンでスコアを崩す選手が続出する中、正確なショットを武器に、この日3人しか出なかった60台をマーク。首位と10打差36位から猛チャージに成功した。「第5のメジャー」と呼ばれる大舞台で米ツアー5度目の最終日最終組。米ツアー日本人初のシーズン複数回優勝&日本人最多に並ぶ3勝目へ、トップの世界ランク1位ジェーソン・デー(オーストラリア)との一騎打ちに臨む。

 格段に難しさを増したコースで松山のショット精度が際立った。1番パー4の第2打、119ヤードをピン右1・5メートルにピタリ。いきなり「今日一番」が出てバーディーを奪い、リズムに乗った。風で乾いたグリーンは、デーをして「許容範囲ギリギリ」というほど速くなり、平均スコアは予選ラウンドより4打以上多い75・592。その厳しいコンディションでも2度しかグリーンを外さなかった。パーオン率は驚異の88・89%。「思いのほか、いいプレーができた」と笑った。

 グリーン上に目を向けても「スコアに対するパットの貢献度」は3日間トータルで2位。今季147位に沈む項目だ。その手には予選で投入したマレット型ではなく、長年愛用するエースパター、スコッティキャメロンのピン型があった。「(長く使っている分)うまく打てなかった時の傾向とかが分かる。昨日までのパターで結果がいいからと続けていれば(ミスした時に)もやもやしてきそう。それを早めに止めたかった。自分の信頼できるパターでミスしたら仕方ない」と長い目で見て決断した。

 目先の結果にとらわれず、貪欲に進化のヒントを求める。スタート前、テレビ解説を務めた米ツアー1勝の今田竜二がパッティンググリーンを訪れると「逆目のアプローチを教えてください」とお願いした。そのまま一緒に練習場へ向かい「フェースを開き気味に、もう少し上から落とすイメージで打った方がいいんじゃないか」と助言を受けた。

 前週に続き「熊本・九州」「ACTION for 日本」の文字が入ったバッジを帽子につけてのプレー。「僕は日本のプレーヤーだし、こういうことを続けていきたい。優勝できたらうれしいし、すごくいいニュースになる」と、被災地への思いも胸に秘める。米での過去2勝は、いずれも逆転。そして、相手は世界NO・1。最高の舞台が整った。

 ◆スコアに対するパットの貢献度=ストロークス・ゲインド・パッティング ショット精度にも左右される単純な平均パット数よりも、パットの実力を示せるように工夫された指標。例えばA選手がグリーン上、ピンまで3メートルにつけたとする。長年蓄積したデータにより、3メートルからカップインに要した平均パット数は算出されており、この3メートルからの平均が仮に「2」パットで、実際にはA選手が「1」パットでカップインさせると、1打稼いだ計算になる。各ホール集計していくと、米ツアーの平均的なパット力の選手と比べて、ラウンド全体を通じパットで何打稼いだかが示せる。