アマチュアの勝みなみ(17=鹿児島高3年)が、14年4月KKT杯バンテリン・レディース以来の2勝目に王手をかけた。首位タイから出て、5バーディー、ノーボギーと連日の67をマークし、通算10アンダー134で単独首位に立った。朝は緊張も、サザンオールスターズの曲を歌うなどでリラックスし、好プレーにつなげた。勝てばアマとしてツアー史上初の完全優勝で、17歳での2勝目なら宮里藍の18歳を抜いて史上最年少。プロ転向も確実となる。

 勝がいよいよ目標の「アマで2勝目」を手元に引き寄せた。1番パー5では第3打をカップ横80センチにピタリ、4番では5メートルのパーパットをねじ込み、5番ではチップインバーディー。攻める姿勢、粘り、運とすべてがかみ合った。高温多湿の5時間ラウンドに「長かったですぅ~」と、汗をぬぐった。

 朝、宿舎を出る30分前から「ドキドキドキと…。スタート3時間前なのに意識しているんだな」と緊張していた。首位発進、最終組の重圧、「(スコアを)落とすんじゃないか」という不安で、練習で最初は手が動かなかった。

 そんな中、「歌が(頭の中に)流れてきて」。歌は勝のリラックス術でもあり、好調の証し。ハーフターンの休憩時には「ずっと声を出して歌ってました」。その中の1つがサザンオールスターズの曲。「曲名はわからないんです…。普段サザンは聴かないのに…」。実は78年発売の「勝手にシンドバッド」だった。どうやら「サザンは大好きです」という母でキャディーを務める久美さん(49)の影響で、頭の中にインプットされてた可能性が大きい。

 後半はピンチが続くも、11番、12番、16番では2メートル前後のパーパットを沈めてしのぎ、17番では「自分でもびっくり」という5・5メートルの難しいスライスラインのパーパットを入れ、単独首位の座に就いた。

 勝てば待望の2勝目。プロ転向のチャンスを今回は生かすはずだ。日本女子プロゴルフ協会によると、すぐにプロ転向の手続きが完了すれば、次週アース・モンダミン杯からの出場も可能という。来年のプロテストは受ける見通しだが「できればその前に優勝したいですね」。優勝争いのライバルには申ジエ、イ・ボミら実力者がずらり。その包囲網を突破して偉業達成となれば、勝のゴルフ人生が大きな転換期を迎える。【岡田美奈】

 ◆勝の初優勝VTR 14年4月KKT杯バンテリン・レディース。第1日に6バーディー、ノーボギーの66で首位発進。第2日は通算7アンダーで首位に1打差の2位に後退も、最終日は同日のベストスコア68を出して逆転。大会記録の通算11アンダーで、15歳293日でのツアー史上最年少優勝を達成。アマのツアー優勝は4人目だった。TPD単年登録(プロ転向)申請の資格を得たが「今は考えてません」とアマで活動を継続することを表明。

 ◆勝がプロ転向するには? 日本女子プロゴルフ協会によると、ツアーで優勝した場合は、期限内(今回なら7月8日)にTPD(トーナメントプレーヤーディビジョン)単年登録を申請、協会の承認を経てプロとして活動可能になる。その後1年間の試合に出場する資格も与えられる。原則的には4月1日時点で18歳であることが必要だが、勝は7月1日に18歳になり、実績も考慮して承認されるとみられる。