石川遼(24=CASIO)が通算12アンダー204で単独首位を守った。2位に1打差から出て4バーディー、2ボギーの70で回って、2位に2打差をつけた。この日、11月のW杯(オーストラリア)に松山英樹(24)の指名を受けて、コンビを組んで出場することが発表された。同時期には所属先のカシオ・ワールド・オープンがあるが、2人で優勝を目指すことを選んだ。

 石川が松山の熱い思いに応えた。約2週間前、W杯出場権を持つ松山から相棒指名の話があったという。「遼、あと3カ月で仕上げてくれ」。腰の故障で2月に米ツアーを離脱し、その時点で実戦は7月日本プロ選手権(予選落ち)だけ。谷原ら自分より世界ランクが上の日本選手もいる中、「ほかの選手じゃなくて(石川と)」との求めに「マジかよ」と思った。同時に「『もっと頑張れ』と言われている気がした」とも振り返る。

 松山の「出るからには絶対に優勝したい」という言葉に「英樹のモチベーションの高さを感じた」。W杯の同週にはホストプロを務める試合がある。それでも「英樹と組んでW杯に出たい気持ちが強かった」と、すぐにその気持ちは松山に伝えた。その後、カシオの樫尾和雄会長とも直接話して、「理解していただいた。僕ら2人を送り出してくれました」。晴れてジュニア時代からの盟友とのコンビ結成、この日の米ツアーからの発表を迎えた。

 石川にとっては谷原と組んで出た13年の大会に続く2度目のW杯だ。当時はストロークプレーで、2人のスコアを合計して争った。それが今回は交互に球を打つフォアサムなどダブルス戦。「その分、燃え方が違うと思う」。ダブルスはプレジデンツ杯で経験があるが、日本代表としては初めてだ。「1打1打へのプレッシャーが重い。その分、喜びは何倍にもなる」。責任感と期待が高まる。

 3カ月後の世界舞台へ「いくら手応えがあっても、結果で裏付けられないと」と話す。今回は復活優勝という最高の結果を出すチャンスだ。この日は強風の中、序盤はショットを乱しながらも「8番から修正できた」。14番では残り40ヤードから「入ったと思った」第2打がカップの縁に止まるイーグル逃しのバーディー。15番からの終盤4ホールはすべて1パットパーと小技でしのいだ。「アプローチ、パターで我慢したのが、2打(差)に効いてきた」と納得顔だ。

 「英樹に心配をかけていた。結果が出れば、心配は半減くらいはするかも」と照れ笑い。W杯優勝に向けて自信と結束を深める勝利をつかみたい。【岡田美奈】

<ゴルフW杯アラカルト>

 ◆競技方法 28の国・地域別による対抗戦で、11月24日からオーストラリア・メルボルンのキングストンヒースGCで開催される。2人一組のチーム戦。第1日、第3日は1つのボールを交互に打つフォアサム、第2日と最終日はそれぞれが1つのボールをプレーし、いいスコアを採用するフォアボールで競われる。

 ◆ライバルは? 地元開催のオーストラリアは世界ランク1位のJ・デーと同7位のA・スコットが組む。過去24回優勝の米国は同8位R・ファウラーと同19位J・ウォーカー。イングランドは今年のマスターズ覇者D・ウィレットと世界41勝のL・ウェストウッドで挑んでくる予定。

 ◆歴史 1953年にカナダ杯として始まり、埼玉・霞ケ関CCで開催の57年に中村寅吉、小野光一のコンビで優勝。67年にW杯となり、01年に静岡・太平洋C御殿場で開催、02年に伊沢利光、丸山茂樹で優勝。07年に世界選手権シリーズを離れ、スポンサーの関係で今回は3年ぶりの開催。