松山英樹(24=LEXUS)は6バーディー、ノーボギーの66で回り、通算20アンダーの268で2位となった。優勝には届かなかったが、シーズン初戦としては米本格参戦4年目で最高のスタートを切った。

 松山は満足していなかった。「悪くないと思います」と言った後で、本音がこぼれた。「勝てなかったら(出し切った感じも)ないですよ」。シーズン初戦としては14、15年のフライズコム・オープン3位を上回るスタート。これまで3シーズン、ポイントランク28位→16位→13位と必ず前季よりいい成績を残してきた男は上だけを見ていた。

 「ジャスティン(トーマス)は調子がいいはずですし、絶対来ると思っていた。(2位と4打差首位スタートの)ラヒリが崩しても崩さなくても、いい勝負になるのかなと思っていました」。コースとの相性もいい昨年大会覇者トーマスの爆発は想定内だった。早めに背中を捉えにいったが、3番パー5では2オンに成功しながら3パットパー。続く4番でも3メートルのバーディーパットがカップに蹴られ、悔しさをあらわにした。「あそこまでいかれると、さすがに今の僕の調子じゃ、なかなか追いつけなかった。ショットも、パットも、ですね」と潔かった。

 意地の連続バーディーで締め、78選手でただ1人、4日とも60台をそろえた。ショットは「一時期の悪い状況ではないので、それがちょっとしたきっかけでまた良くなる」。パットについても「入らないのは、スピードとラインが合ってないだけ。さほど重くは受け止めていない」と言った。

 米ツアーになじんできたのか、心のゆとりを感じさせる瞬間が増えている。優勝争いを演じていた第3日のラウンド中には、待ち時間で同組のJ・ハーン(米国)が使っているクラブをお願いして見せてもらったこともあった。米3勝目、そしてメジャー制覇とさらなる飛躍を目指すシーズン。「何も考えてないです。あんまり(目標を)立てるの、好きじゃないんで」。目の前の試合を全て勝ちにいくだけだ。【亀山泰宏】