世界ランク10位の松山英樹(24=LEXUS)が、“準メジャー”と呼ばれる世界選手権シリーズ初制覇に前進した。通算13アンダー131で単独首位に立った。2打差3位から出て、9バーディー、2ボギーの65をマークし、2位の昨年覇者ラッセル・ノックス(英国)とビル・ハース(米国)に3打差をつけた。谷原秀人(37)は2バーディー、3ボギーの73で通算2オーバーの43位。今大会は予選落ちなしで争われる。

 パットがさえわたって10バーディーを奪った第1ラウンドから一夜明けても、松山の手に残る感触は消えていなかった。1番でグリーンを外してボギー発進となったが、直後に連続バーディー。7番で3・5メートル、8番で2・5メートルを沈めてスコアを伸ばし、後半も10番から3ホール連続でバーディーチャンスを決めて「これだけ(パットが)入るのも珍しい」と驚くほどだった。

 2週前には日本オープンを制覇し、米ツアーの新シーズンで自身初戦となった先週のCIMBクラシック(マレーシア)で2位と、好調の波は続いている。「いい感じでできている。これが明日、あさってと続いてくれれば優勝が近づく」。日本勢として、個人戦では初の世界選手権シリーズ優勝に向け、手応えをにじませた。

 ゴルフがあまり盛んではない中国での開催ということもあり、構えに入っても観客の話し声やカメラの音は止まらない。それも「人が多いと、どのツアーに行ってもあること」と受け流した。マレーシア開催だった前週も、カメラのシャッター音はあった。今大会はもちろん、24歳ながら世界のさまざまな地を転戦して、気候や芝質だけではなく、風土、文化を体験してきた風格がにじむ。

 どんな場面でも、この2日間はカップに入れることだけに集中し、迷いなくパターを操っている。10番ではセミラフから1・5メートルにつけるなど、ショットの状態も「風と距離と番手を計算してうまく打てた」と徐々に状態は上向いている。14番、18番のパー5でしっかりバーディーが取れているのも心強い。完璧主義の松山は「(ショットが)もう少し良くなれば勝てるのかな」と謙遜しつつ、しっかり頂点を見据えている。

 ◆世界選手権シリーズ 99年から始まり、米国、欧州、日本など世界6大ツアーの共催。メジャーに次ぐ位置づけで、世界ランク上位者と限られた出場枠による選手のみの戦い。現在は年間4大会行われ、うち1つはマッチプレー。日本選手では団体戦の02年W杯(現在のシリーズからは離脱)で伊沢利光、丸山茂樹が優勝。個人戦では01年マッチプレーの谷口徹と、14年HSBCチャンピオンズの岩田寛の3位が最高位。米ツアーでは優勝者に3年シードが与えられる。日本ツアーでは出場試合数は加算されるが、賞金加算はなし。