賞金ランクトップの池田勇太(30=日清食品)が5バーディー、2ボギーの67で回り、通算8アンダーの202で首位と3打差の2位に浮上した。逆転には優勝が絶対条件となる賞金ランク2位の谷原秀人(38)がトップと6打差に後退し、悲願の賞金王は目前。「勝ってなるのが一番喜べる」と今大会の優勝だけを見据え、国内男子の年間獲得賞金最高額(01年伊沢利光、2億1793万4583円)更新とダブルの栄冠を目指す。小平智(27)が通算11アンダーで単独トップに立ち、最年少の日本タイトル3冠に王手をかけた。

 戴冠に大きく前進した池田の表情は険しかった。開口一番「情けないです」。最も難しい最終18番パー3で3メートルのチャンスにつけながら、バーディートライはカップの10センチ手前で止まった。「1打でも詰めておいた方が、明日(小平)智に追いつくにはいいと思ったので…。詰めが甘いですね」と反省の言葉を重ねた。

 2位なら谷原の結果にかかわらずタイトルを獲得できる状況でも「順位はどうでもいい。(肝心なのは)上との差でしょう」と小平の背中しか見ていない。賞金王になれたとしても、今大会の優勝を逃せば「悔いが残る。その(勝つ)ために来ていますから」。強い思いは後半の粘りに表れた。10、11番で連続ボギーも、12番で4メートルのフックラインを沈めた。「12番のバーディーで流れを変えられた」。17番パー5は2オンから2パットでバーディー。V圏内に踏みとどまった。

 今季は代名詞の3タックからノータックに変更したパンツで戦ってきた。それが今週は“らしさ”を感じさせる、やや太めのシルエット。「今週のはタックも入っているんです。そこまで頼んでないんですけどね…」と笑う。池田が着用するブランドでタックの入ったパンツは関係者も「見たことがない」と驚くが、慣れ親しんだスタイルでシーズン最終戦に臨んでいる。

 「勝って(賞金王に)なるのが一番喜べる。2016年を締めくくる上で、悔いの残らないゴルフをしたい」。最高の結果で最高の1年の幕切れを飾る。【亀山泰宏】

 ◆池田の賞金王の条件 池田が優勝、単独2位、2位タイ(3人以内)、単独3位のいずれかに入れば賞金ランク2位谷原の結果にかかわらず賞金王が決定する。また谷原が優勝を逃せば、その時点で池田の賞金王が決まる。