世界ランク4位の松山英樹(25=LEXUS)は3バーディー、1ボギー、1トリプルボギーの73で回り、1オーバー73で首位と6打差の46位発進となった。ショットに苦しみながら、要所でしぶとくパーパットを決めて大崩れを回避。パットの貢献度を示す「ストロークス・ゲインド・パッティング」(SGP)は今季最高の数値を記録した。エミリアノ・グリジョ(24=アルゼンチン)とマシュー・フィッツパトリック(22=英国)が5アンダーでトップに並んだ。

 松山は「もっと崩れてもおかしくない内容。よく踏ん張れたかなと思う」と振り返った。「暴れてました」と苦笑したショット。前半17番パー3は、4番アイアンの第1打が池に消えて今季31ラウンド目で初のトリプルボギーをたたいた。「何かを気を付けなきゃいけない状態が続いている。もうちょっとチェックポイントが少なくなれば、もうちょっと楽にプレーできる」。特に序盤はフロリダとは思えない寒さもあり、いつも以上に神経をとがらせながらのラウンドだった。

 巻き返し可能な位置に残れたのは、微妙な距離のパーパットを沈められたから。後半2番は4メートル、最終9番も2メートルをねじ込み、5度の“寄せワン”でしのいだ。SGPプラス1・742は自身の今季最高。120選手の中でも18位につけた。今季通算はマイナス0・393で部門別166位に沈む項目だけに、心強い数字だ。

 11、17番といずれも1メートルほどを外した3パットがあり、本人は「いいとは言えないですけど、徐々に(前戦)メキシコ(選手権)とか(2試合前の)ジェネシス(オープン)の時に比べたら良くなってきてるかな」と手綱を緩めない。ホールアウト後はいつも通り「パッティングチューター」を使って練習に没頭した。2つ並べた鉄の球に当たらないようボールを転がすことで、正しいストロークを体に染み込ませる器具。松山が使うのは市販品より鉄球が大きく、さらに難度を上げている特別仕様。地道な積み重ねが、ピンチでの底力を生んでいる。【亀山泰宏】

 ◆SGP ショットの精度にも左右される平均パット数よりも、パットの実力を示せるように工夫された指標。スコアに対するパットの貢献度が分かる“パットの偏差値”。例えばA選手がグリーン上、ピンまで3メートルにつけたとする。米ツアーでは全選手の全打球のデータを蓄積しており、3メートルから要した平均パット数も算出されている。3メートルからカップインする平均が仮に「1・5」パットで、実際にA選手が1パットで決めると、平均より0・5打稼いだ(ゲインド)ことになる(+0・5)。2パットで決めた場合は0・5打損したことになる(-0・5)。これを各ホールで集計して合計すると、米ツアーの平均的なパット力の選手と比べて、1ラウンドでパットで何打稼いだかが示せる。ちなみに世界ランク1位ダスティン・ジョンソン(米国)のSGPは+0・517で米ツアー28位。