賞金ランキング1位・鈴木愛(23=セールスフォース)が初の賞金女王へ、我慢のゴルフを展開した。1アンダーの7位で出ると、強風などの影響を受けながらも1ボギーの73でまとめ、通算イーブン144で11位に踏みとどまった。プレー後に悔し涙も流すなど、自らを奮い立たせた。テレサ・ルー(30=台湾)が通算8アンダーで首位をキープ。賞金ランク2位キム・ハヌル(28=韓国)は通算1アンダーの7位につけた。

 最後まで耐え抜いた。18番で約4メートルのパーパットを沈めた鈴木は、自然と右拳を強く握って喜びを表現した。「確かにナイスパーだったと思うけれど、明日につながるか分からない」。厳しい表情を崩すことなく、危機感を募らせながら第3日以降を見据えた。

 3アンダーを目標に掲げてスタートした第2日はコースに吹き荒れた平均風速5メートルの強風を読み切れず、苦戦を強いられた。「フォローで計算して打ったらグリーンでアゲンストだったり、何でこんなにうまくいかないのか」。ため息とイライラの連続…。後半14番では約2メートルのバーディーチャンスを外すなどバーディーはゼロだった。

 「とにかくバーディーが欲しかった。良いプレーができなかったので、それがストレス。腹が立つことしかなかったと思います」。

 プレー終了後に悔し涙も流すほど、初の賞金女王奪取に貪欲な姿勢をみせた。首位と8打差ながら11位に踏みとどまった意味は大きい。単独6位の賞金額となる560万円相当を稼げば、無条件に13年の森田理香子以来4年ぶりの日本人賞金女王に輝く。絶対的優位に変わりはない。2位になった前週から、今季2勝をサポートしてくれた小畑キャディーを起用。「気持ち良く戦えると思います」と準備を整えてきた。

 残り2日間、36ホールで勝負は決する。「もうちょっとショットの精度を上げていきたいと思います」。ただ上だけをみて、鈴木は悲願達成に突き進む。【藤中栄二】