<男子ゴルフ:トーシントーナメント>◇最終日◇12日◇岐阜・トーシンGCセントラルC(7004ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2000万円)

 I・H・ホ(27=韓国)が攻めの姿勢を崩さず、大会平均ストロークが今季最少69・712の伸ばし合いを制した。

 「正直、初優勝はあまり考えてなかった。それより通算30アンダーまで伸ばしたいと思っていた」。通算23アンダーからスタートし、67止まりに終わったスコアを残念そうに振り返ったが、通算28アンダーで尾崎将司、B・ジョーブが持つ72ホール最多アンダーパーのツアー記録を2打更新した。

 左サイドがOBの6番パー4(408ヤード)でドライバーを握り、ピンまで約50ヤードの花道に運んだ。フェアウエーの狭い12番パー4(364ヤード)でもドライバーを手に、グリーンエッジまで約20ヤードの花道へ。多くの選手が3番ウッド、5番ウッドなどで手堅く攻めるホールから、力づくでバーディーを奪った。

 徹底した感覚派だ。ツアー競技者の必需品ヤーデージブックを持たず、距離計算はコース内の木や印を頼りに、見た目で判断する。ドライバーはシャフトの硬さこそXだが、重さは下手すればレディースをしのぐ超計量タイプ。「軽いと左右にブレるというのが一般的な感覚ですが、僕は軽い分、よりヘッドスピードが増して飛距離を増すという考え方をしています」。

 また常用するサングラスはスポーツタイプではなく、カジュアルなデザインのアルマーニ。「本当は他のに交換したいけど、ずっと着けて打っているから、外した時の目とボールの距離感に不安があるから」と、慣れ親しんだオーダーメードのものを外さない。

 米ツアー、メジャー挑戦など、多くのプロが夢見る舞台にも興味なし。「一般的に米ツアーが世界一と言われているけど、僕はそう思わない。日本ツアーも、韓国ツアーもレベルは高い。何より米国は遠いし」。2年前までカーレーサーとしても活動。父親に「危ないから辞めろ」と“禁止令”を出され、しぶしぶ従ったとか。異色の韓流プロは「これからも優勝より、ゴルフの記録を塗り替えることを目標にしていきたい」と豪快に笑った。