<女子ゴルフ:サロンパス杯>◇3日目◇10日◇東京よみうりCC(6523ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 福嶋晃子(34=NEC)が飛ばし屋対決で貫禄(かんろく)勝ちして、新メジャーの初代女王に王手をかけた。雨が降り続く中で4バーディー、2ボギーの70で回り、通算5アンダーの211で単独首位に立った。同じ最終組の横峯さくら(22)に飛距離の差を見せつけた上に、18番ホールでは球のリプレース場所も「指導」した。日本女子プロ、ツアー選手権(旧明治乳業杯)に続くメジャー3冠を狙う。張娜(中国)が通算4アンダーで2位、横峯は2アンダーで4位だった。

 互いの健闘をたたえ合う和やかなムードが、一瞬にして凍りついた。ホールアウト後、福嶋は握手を求めてきた12歳下の横峯に、最終18番ホールのグリーンで、球のリプレース場所が少し右にずれていないかと確認した。

 アテスト場で同組の張娜、競技委員とも協議した結果、マーク位置を見る角度も違うため、横峯の「誤所からのプレー(2打罰)」はなかったと認められたが、横峯は「次から気を付けます」と反省。福嶋は厳然とした態度で、女子プロゴルフ界を担う後輩に「誤解されないように」とルールの徹底を促す形になった。

 飛距離でも、横峯に「馬力」の差を見せつけた。小雨が降り続ける悪コンディションの中、17番ロングの第1打ではキャリーで293ヤード飛ばした。横峯がラフにつかまったとはいえ、40ヤード以上も置き去りにした。ともにバーディーを取った4番ロングでも横峯が2打目に3番ウッドを手にしたのに対し、福嶋は残り180ヤードを5番アイアンで攻めた。

 飛ばし屋対決で貫禄勝ちし、「今日は3日間で、一番バタバタした」と言いながらも4バーディー、2ボギーで単独首位に立った。好調なのは今年、体調十分で試合に臨めているからだ。寝る前に必ず背中や尻中心にストレッチを行うなど体のケアに気を付けている。先週からはユーティリティーとパター以外のクラブのシャフトを5グラム以上、重いものに替えて「球質も重くなった感じ」と新メジャーの難コース対策に手応えを得ている。

 新メジャーの初代女王に輝けば日本女子プロ、明治乳業杯(現ツアー選手権)に続くメジャー3冠が実現する。プロ野球大洋(現横浜)の捕手だった父久晃氏も「体調が良いので、早いうちに勝てば勢いがつく」と期待した。最終日は張娜、そして韓国の賞金女王、申智愛と回る。福嶋は最終組のアジア対抗戦を、堂々と受けて立つ。【佐藤智徳】