<米女子ゴルフ:全英女子オープン選手権>◇最終日◇3日◇英国サニングデールGC(6408ヤード、パー72)

 【サニングデール=佐藤智徳】2打差の3位からスタートした宮里藍(23=サントリー)が、夢のメジャー制覇を逃した。5バーディーを奪うなど気迫を見せたが、最終18番で痛恨のダブルボギーで70、通算13アンダーの275で5位に終わった。2位スタートの申智愛(20=韓国)が通算18アンダーで、メジャー初優勝を果たした。

 夢のメジャー制覇に向け、気合満点のスタートだった。1番パー5で6メートルのバーディーパットを沈めると、握った拳を力強く上下に4回振った。空からは小雨が落ちていたが、この瞬間から宮里は自分だけの世界に入った。続く2番パー5では1メートルのパットを入れて連続バーディー。3番では第2打をバンカーに打ち込むも、2メートルのパーパットを決めて引き寄せた流れをキープした。

 強い気持ちでコースに足を踏み入れた。首位の不動に2打差だったが、前日のラウンド後から「不動さんは絶対にミスをしないから自分がいかにスコアを伸ばせるか。今回は本当にチャンスが来ていると感じている」と自分に言い聞かせるように話した。

 この1年の思いもボールにぶつけた。昨秋から「もっと飛距離がほしい」の思いが強過ぎ、スイングのバランスを崩した。プッシュアウトと引っかけを多発。日本にいるコーチの父優氏に電話をしては泣き「ゴルフをやるのがつらい。やめたい」とも漏らした。慰め、アドバイスを送ってきた父の言葉も素直に聞けず「細かいことは言わないで。自分の感覚でやらせてほしい」と言い放った。

 その後、自分で模索していく中、子供のころから築いてきたゆったりしたバックスイングに回帰することができた。

 スランプを脱出し、メンタル面も成長した。7番パー4で初ボギーの後、すぐに8番パー3でバーディー。10番パー5でもスコアを伸ばした。12番パー4を終えて14アンダーで不動をとらえ、抜き去った。だが、不動と同じ最終組でバーディーラッシュの申には追いつけなかった。米女子ツアー賞金女王にもなった岡本綾子でさえ、52度の挑戦で果たせなかったメジャー制覇。16度目の宮里は5位で戦いを終えた。