<米女子ゴルフ:全英リコー女子オープン>◇3日目◇1日◇英・ロイヤルリザム&セントアンズGC(6492ヤード、パー72)

 【ブラックプール(英国)=木村有三】米ツアー初優勝から2週連続Vを目指す宮里藍(24=サントリー)が、メジャー初優勝へ射程圏につけた。5打差10位スタートから、5バーディー、3ボギーの70で回り、通算イーブンパーの216とスコアを伸ばした。首位カトリオナ・マシュー(39=英国)と4打差の3位で、逆転優勝が十分可能な位置で最終日に挑む。米ツアー新人の宮里美香(19)は69で回り同1オーバーの5位、諸見里しのぶ(23)は71で同2オーバーの7位。77年全米女子プロの樋口久子会長以来2人目の日本人メジャー制覇への期待が大きく膨らんだ。

 メジャー初優勝へ宮里藍が3日目も着実に前進した。太陽がのぞき風も穏やかだった前半で、順調にスコアを伸ばした。1番パー3でピン手前1・5メートルにつけ幸先よくバーディー発進。2番パー4こそボギーとしたが、6番パー5では第2打をグリーン手前30ヤードまで運び、2メートルに寄せてバーディー。8番パー4、9番パー3ではともに6メートルを沈めて連続バーディー。「朝から風がなかったので、ラインが読みやすかった」。通算1アンダーで前半を折り返した。

 11番パー5で3メートルのバーディーパットを沈めた直後から、全英特有の海風が強まった。そこからは粘りのゴルフを展開した。12番パー3では第1打が右バンカーにつかまりボギー。14番パー4でも第1打がバンカーにつかまりボギーとしたが、残る4ホールはパーで耐えて、スコアを2つ伸ばし「すごくいい位置にいる」と手応えを得た3日目だった。

 粘り強さと、切り替えの早さが好調の要因だ。前日も後半3バーディーを奪い迎えた14番パー4でトリプルボギーをたたいたが、集中を切らさず、続く15番パー5でバーディーを奪い返した。「以前は気持ちを取り戻すのに2ホールくらいかかっていたけど、数分で切り替えることができた。それは良くなってきてる」。

 両親の存在も心強い。今週は父優さんと母豊子さんが合流。この日も優さんの「よっしゃー」の声援が飛んだ。豊子さんには食事面で全面サポートを受けている。コースでもみそ入りなどの手作りおにぎりでエネルギーを補給。前日の夕食では、日本から持参した小麦粉とパン粉、現地調達した豚ロースで手作りカツカレーを作ってもらった。

 前週エビアンマスターズでの米ツアー初Vで「自信がついたし、焦りはなくなった」と心の余裕もプラスに働いている。「メジャーでも、やるべきことは1つ。自分のプレーに集中する。気負わなくても最終日は自然と気持ちが高まってくる」。米ツアー2週連続V、そして77年全米女子プロを制した樋口久子以来の日本人メジャー制覇へ、最終日も自然体のプレーを貫く決意だ。