男子ゴルフのカシオワールドオープン最終日の29日、賞金ランク1位の石川遼(18=パナソニック)ら最終組の2番ホールで、TBSのテレビ中継用機材を乗せたカートがギャラリーに突っ込む事故が起きた。女性4人が接触して負傷。約20メートル引きずられた高知市の30代の女性が眼窩(がんか)底骨折の大けがを負い、病院に搬送された。現場を目撃した石川は「寒けがして、動揺した」という。

 大きな悲鳴がコース内に響いた。「危ない」との怒声が飛び交う。最終組の2番ホールで、前代未聞の事故が起きた。TBSのテレビ中継用カートを運転したカメラマンが、ハンドル操作を誤り、急傾斜のカート道を暴走、猛スピードでギャラリーに突っ込んだ。はねられた女性4人が負傷し、うちカートの下敷きになった30代の女性が、約20メートルも引きずられた。現場は騒然とした空気に包まれた。

 ちょうど石川はティーショットを打ち、グリーンに向かって歩いていたときだった。突然の悲鳴に驚き、後ろを振り向くと、カートの下敷きになった女性が引きずられていた。「あんな光景はゴルフをやっていて初めて見ました。さすがに動揺したし、寒けもしました。怖かったですね」と、大きなショックを受けていた。

 2番ホールは打ち下ろしで、カート道は急傾斜の坂だった。この日の観戦者は7000人を超えた。最年少賞金王を目指す石川を観戦しようと、最終組は1000人以上のギャラリーが集まり、カート道は人であふれていた。運転していたカメラマンはゴルフ取材歴5年目のベテランだった。高知県安芸署が業務上過失傷害の疑いで詳しい話を聞いており、運転手は「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と話しているという。

 ケガをした4人のうち、2人が高知市内の病院で手当てを受けた。約20メートルも引きずられた30代女性は、左眼窩(がんか)底骨折の重傷で、そのまま入院した。手術を受ける可能性もある。事故を起こしたカメラマンが所属するTBSテレビの岡田浩一プロデューサーは「ケガをされた方、そのご家族の方にご迷惑をお掛けした。深くおわびします」と陳謝した。

 事故を起こしたカートは大会初日からスピードを出し過ぎていたという声も、一部ギャラリーから上がっていた。大会を主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の小泉直会長は「事故の原因をしっかり究明し、今後は安全に配慮して大会運営に臨みたい」とコメントした。今後はトーナメントでカートを使用するJGTO、テレビ局、運営会社が話し合って、再発防止に努める。白熱の賞金王争いに水を差す、思わぬ惨事が起きてしまった。【田口潤】