<米女子ゴルフ:ホンダLPGA>◇最終日◇21日◇タイ・パタヤ・サイアムCC(6469ヤード、パー72)

 宮里藍(24=サントリー)がミラクル大逆転で、米女子ツアー開幕戦に日本人として初優勝、ツアー2勝目を挙げた。6打差3位から首位スサン・ペテルセン(ノルウェー)を猛追。最終18番で起死回生のチップインバーディーを奪い、通算21アンダーと1打差でかわした。1イーグル、8バーディー、1ボギーで米ツアー自己ベストタイの63、4日間競技のスコアも自己ベストだった。昨季は米ツアー初優勝を挙げ、賞金ランクも3位。今季は最優秀選手賞、そして岡本綾子に続く日本人2人目の米ツアー賞金女王を目指す。

 大逆転劇の締めくくりにふさわしい、鮮やかなミラクルショットだった。最終18番479ヤードのパー5の第4打。グリーン奥から残り10ヤードのアプローチ。柔らかくグリーンを跳ねるように転がったボールが、カップに吸い込まれる。この時点で、2組後ろで回った最終組のペテルセンを2打差引き離し、米ツアー2勝目をたぐり寄せた。

 宮里

 難しいアプローチ。よく入ったなと思います。ちゃんと自分の手で2勝目をつかんだ。こんなに早く勝てるとは思ってなかったけど、オフにしっかり準備してきたことが出せました。

 カップインとともにタイの観衆から沸き起こった大歓声。右手を突き上げながら浮かべた驚きの表情は、すぐに藍スマイルで満開になった。

 7番のイーグルで大逆転へのアクセルがかかった。残り214ヤードの第2打を3番ウッドでピン5メートルへぴたり。落ち着いてパットを沈めた。「スコアのことはまったく考えてなかった」とその後も表情は崩さない。9番からは3連続バーディーで、首位に1打差。15番で1メートルのバーディーパットを沈め、ついにペテルセンをとらえ、その勢いのままに奇跡の逆転劇を成し遂げた。6打差の逆転は日米合わせても初めてだった。

 昨季は7月のエビアンマスターズで米ツアー初優勝、賞金ランクも3位と躍進した。賞金女王の可能性がなくなり臨んだ11月の米ツアー最終戦・ツアー選手権初日の夜、今季の目標を見つけていた。ツアーで初優勝した選手など、限られた選手だけが招待された世界ランク主催社ROLEXのパーティー。そこで09年最優秀選手としてトロフィーを抱くロレーナ・オチョアの姿に感動を覚えた。各試合の順位ポイントを最も獲得した選手に与えられる名誉。賞金に左右される賞金女王ではなく、1年間の平均的な力が求められる賞。「私もあそこに立ちたい」と決意を固めた。

 その後、12月には米国の拠点としてきたロサンゼルス近郊に2階建ての新居も購入した。「米ツアーの一員としての自覚もあるし、(現役を)続ける限り、米ツアーで戦いたい」。練習に明け暮れたオフ。装飾品や小物を集めるのがつかの間のリラックス方法にもなった。ブログには「すてきなお家のデコレーションが出来ればいいなぁと思っています ! 」と楽しげな様子がつづられている。

 最優秀選手賞を目指せば、必然的に87年岡本綾子以来の米ツアー賞金女王も見えてくる。「(1勝目を挙げた)エビアンの時は緊張したけど、今日は地に足をつけて1ホール、1ホールを回れた」。冬季五輪に盛り上がるバンクーバーとは対照的な、30度を超えるタイでつかんだ開幕戦での「金メダル」。今季の米ツアーの中心に「Ai

 Miyazato」がいることは間違いない。