<米女子ツアー:HSBC女子選手権>◇3日目◇27日◇シンガポール・タナメラCC(6547ヤード、パー72)

 宮里藍(24=サントリー)が、日本人初の米ツアー2連勝に王手をかけた。首位に1打差の3位からスタート。16番パー4で1オンに成功してイーグルを奪うなど強気のゴルフで、1イーグル、3バーディー、2ボギーの69で回り、通算7アンダーの209で、ジュリ・インクスター(米国)と並び首位に立った。最終日は通算5アンダーで3位に浮上した上田桃子(23)も含めた3人による最終組対決で、44年ぶり史上5人目の開幕2連勝の快挙に挑む。

 ボールがカップに消える寸前から、宮里は駆けだしていた。16番、上って下るスライスラインの12メートルのイーグルパット。右拳も幾度も振り、全身で喜びを表した。首位に並ぶ値千金の一打に、この日一番の笑顔があふれた。

 宮里

 今日はすごく難しいピンポジションで、中盤は我慢の流れだったけど、16番のイーグルがすごく大きかった。

 16番は269ヤードと短いパー4だが、第1打の落としどころとなるグリーン手前に2つのバンカーが構える。刻む選手も多いが、「私の飛距離だとバンカーを越えるのはギリギリだけど、今日はアゲンスト(向かい風)でもなかったので、思い切ってドライバーで打ったのが、イーグルにつながりました」。首位を追う状況で、強気だった。

 出だしの連続バーディーで勢いづいた。前日に日本にいる父優さんに電話で「パットのストロークでヒット感が緩い。強めに打つように」とアドバイスされた。メジャーの設定並みに大きくうねる難グリーンを恐れず、強気のパットを心掛けるよう説かれた。1番は6メートル、2番でも5メートルを沈めた。出色が16番の12メートルのイーグルパットだった。

 今季は各試合の順位ポイントの合計で決まる最優秀選手賞が目標だが、実は「英語のインタビューの克服」も期している。小4から英語の教材テープを聞くなど備えてきた米ツアーも、本格参戦5年目。本人は「苦手」と謙虚だが、語学力はすでに申し分ない。ラウンド後の公式記者会見で、7割以上を英語で答えるなど、米ツアーの中心選手としてプレー以外でも揺るがない存在感もみせた。

 前週のホンダPTT・LPGAタイに続き優勝すれば、日本人初の米ツアー連勝となる。さらに1950年開始の米女子ツアーでの開幕2連勝は、野球のベーブ・ルースにちなみ「ベーブ」の愛称を持つ通算31勝のベーブ・ザハリアス(51年)ら4人しかいない。直近の記録はマリリン・スミス(66年)で、実現すれば44年ぶりの偉業になる。

 最終日は2打差まで急上昇してきた上田と初めて最終組で対決する。「若いころからよく知っているし、競い合ってきた仲。明日は楽しんで一緒に回りたい」。会見で「先週と今週の結果で、日本で石川遼より人気になりそうですか?」と聞かれると、「明日18ホールで良いプレーを見せれば、そうなってるかも。そうですよね」とほほ笑んだ。そして「自分のプレーに徹すれば良い結果が出る」。宮里の言葉に自信がにじんでいた。