<米女子ゴルフ:HSBCチャンピオンズ>◇最終日◇27日◇シンガポール・タナメラCC(6547ヤード、パー72)◇賞金総額140万ドル(約1億1200万円)優勝21万ドル(約1680万円)

 有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)がわずか1打差で、米ツアー初優勝を逃した。後半は強豪カリー・ウェブ(36=オーストラリア)と一騎打ちの展開。一時は3打差をつけたものの、メジャー7勝の元賞金女王に追い上げられ、14番ホールで逆転を許した。残り4ホールでの再逆転はならず、71、通算12アンダー276で2位に終わった。ウェブが通算13アンダーで37度目の優勝。昨年覇者の宮里藍(25)は通算イーブンパーの14位。宮里美香(21)は通算1オーバーの16位、上田桃子(24)は通算10オーバーの47位だった。

 我慢していたものが、あふれそうになった。18番グリーン横に、東北高の先輩で尊敬する宮里藍の姿が見えた。夢はわずか1打差で遠のく。有村は宮里藍と抱き合うと、目を潤ませた。「少しの差だけど、この順位の差は大きい。あと1打は大きい壁。悔しい」。最後の最後で元賞金女王ウェブに米ツアーの厚く高い壁を見せつけられた。

 10番ではウェブに最大3打差をつけたが、直後の11番で1・5メートルのパーパットをカップに蹴られた。バーディーの後の14番でボギーをたたき、今大会初めて首位を譲った。1打差で迎えた最終18番。決めればプレーオフの7メートルのバーディーパットを2メートルショートさせ、雌雄は決した。「バーディーの後にボギーをたたいて勢いに乗れなかった。自分は甘いし、足りないところがいっぱいある」と反省点ばかりを口にした。

 優勝こそ逃したが、スポット参戦で世界のトップと最後まで渡り合ったのも事実。大躍進は「打倒韓国」の思いが大きい。昨季日本ツアー34試合中、韓国選手の15勝を含め、外国人選手が17勝を挙げた。テレビ視聴率、入場者数も減少。有村は日本人トッププロとして責任を痛感した。「練習熱心な韓国人選手より必死にならないといけない」。オフは2年前に10回以上出演したテレビ出演を3回にとどめ、1月はプロ野球楽天の選手と沖縄・宮古島で走り込み合宿。同下旬から米フロリダで3週間の合宿を敢行した。日本女子プロゴルフ協会の小林浩美新会長(48)も「智恵ちゃんは立派だった。今季は大爆発の予感がする」と絶賛した。

 米ツアー自身最高2位で賞金13万2846ドル(約1100万円)を獲得。次戦は国内ツアー開幕戦ダイキン・オーキッド・レディス(3月4日開幕、沖縄・琉球GC)になる。「こんな(悔しい)思いをしないように頑張りたい」。まずは国内ツアーで優勝を重ね、米ツアーでのリベンジの機会を待つ。