楽天の今季仙台開幕戦となる29日のオリックス戦(Kスタ宮城)でマスターズに出場し27位と健闘したアマチュアゴルファーの松山英樹(19=東北福祉大2年)が始球式を務めることが18日、分かった。東日本大震災の影響で1カ月遅れで行われる本拠地での試合。復興の象徴ともなる一戦で、地元の大学から世界に羽ばたいた若者が第1球を投じる。

 希望の一投となる。石川遼とともに、これからの日本ゴルフ界を背負う松山は、震災被害を受けた仙台にある東北福祉大に通う。19歳も、震災に気持ちが揺れた。一時はマスターズ出場に迷いが生じたことも。そんなときに届いた「マスターズ、頑張れ」の声。多くの人たちの励ましを背にプレーし、日本人初のベストアマと健闘した。

 周囲への、東北への、感謝の念は計り知れない。15日に仙台に戻ってからは、トレーニングの傍ら牛乳配達の手伝いなど被災地でのボランティア活動を始めた。長い道のりとなるであろう復興を成し遂げるには、若者の力が必要不可欠。楽天が「特別な試合」と位置付け、地元ファンが待ち焦がれる29日の本拠地開幕戦で、始球式を託すのにふさわしい人選となった。地元から飛び出した新星に、復興のシンボルとなる試合の幕を切ってもらう。

 楽天にとって、当日は“第3の開幕戦”となる。本拠地Kスタ宮城が震災による修復工事中。甲子園やほっともっと神戸を代替に遠征を続けており、29日に念願の仙台開幕を迎える。星野監督は「うちには開幕が3つある。12日のシーズン開幕、15日の甲子園でのホーム開幕、そして29日の仙台開幕だ」とし、3戦必勝を公言してきた。12日のロッテ戦は岩隈が、15日のオリックス戦は田中が、それぞれ好投し勝利した。

 最後の開幕戦へ舞台は整いつつある。12、15日2試合のウイニングボールが、星野監督の意向で地元新聞社に渡された。仙台市内での公開を経た後、29日からはKスタ宮城で展示される。「私が持っているより、見るのにふさわしい人たちがいる」と、星野監督は東北のファンを思いやった。29日は再び田中を先発に送り出し、3つ目の記念球を展示列に加えるつもりだ。

 戦いの記録も舞台を彩る。29日からの3連戦では、同球場前に今季の戦いを写したパネルの展示が決まった。12日ロッテ戦での嶋の勝ち越し3ラン、13日同戦での山崎の3ラン、15日オリックス戦での田中の完投勝利等々。遠くで見ることがかなわなかった地元ファンと、熱い記憶を共有する。さらに、29日の第1戦はTBSが全国中継することを検討。松山の第1球で始まるメモリアルゲームに、東北のみならず全国の野球ファンの注目が集まる。