<女子ゴルフ:日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯>◇最終日◇11日◇千葉・キングフィールズGC(6700ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2520万円)

 三塚優子(26=フリー)が涙の復活優勝を飾った。最終日は4バーディー、1ボギーの69で回り、通算6アンダー282で横峯さくら(25)を逆転し、初の日本タイトルを獲得した。今大会2日目の9日は昨年3月に亡くなった父康輝さん(享年72)の誕生日だった。昨年のツアー途中棄権騒動から低迷。一時はノイローゼにもなったが、亡き父への思いを支えに、難コースの国内メジャーで完全復活した。

 亡き父のおかげだった。17番パー5。首位三塚の左ラフからの第2打は右の池に向かった。池に入れれば、2打差に迫った馮(中国)に逆転される可能性が高まる。球は池の手前わずか10センチに残った。このホールをパーでしのぎ、優勝を引き寄せた。今大会2日目の9日は昨年3月27日に亡くなった父康輝さんの誕生日。「ずっと父のことを考えていた。守ってくれたと思う」。涙があふれた。

 首位横峯と3打差2位で迎えた最終日。飛ばし屋の持ち味を十分に生かした。岡本綾子が設定に関わったコースはフェアウエーが狭く、ラフは深い。それでもだれよりも遠くに飛ばすことで、2打目はウエッジなどショートアイアンでピンに絡んだ。6番で横峯に並び、9番で逆転すると首位を譲らなかった。

 プロ転向3年目の09年には賞金ランク5位。順風満帆なプロ人生は、昨年3月の父の死から狂い始めた。死のショックを引きずった同5月のサロンパス杯では途中棄権騒動を起こす。2カ月の出場自粛と罰金。「トラブルメーカー」のイメージもついて、メーカー、マネジメント事務所との契約も切られた。

 ツアー復帰後も結果は出なかった。「もう勝てない。そのまま消えちゃうんじゃないかと思った」。ゴルフ場に行くのもつらかった。昨年暮れにはノイローゼ状態に陥り、病院でカウンセリングも受けた。今季もドライバーの飛距離が戻らず全身にじんましんが出た。

 孤立無援の中、心の支えは亡き父だった。「メジャーで勝つ姿を見せたかった。それができなかったことが心残り。父のためにも勝ちたかった」。春から80本以上のドライバーを試し、6月からはかつて師事したトレーナーのもとに戻って、3キロ体重を絞った。今大会までの賞金ランクは約350万円の74位と低迷していたものの、先月中旬からやっと復調の兆しが見えていた。

 約2年半ぶりのツアー通算4勝は初の国内メジャー制覇。172センチの長身で平均飛距離は約270ヤードを誇る。大目標は米ツアーも、まずは残りの3つの国内メジャー制覇を目指す。「もっとたくさん勝てるように、たくさん練習したい」。飛ばし屋の大器が、紆余(うよ)曲折を経て完全復活した。【田口潤】

 ◆三塚優子(みつか・ゆうこ)1984年(昭59)9月21日、茨城・水戸市生まれ。13歳からゴルフを始め、埼玉栄高に進学。06年プロ宣言。07年ミヤギテレビ杯で初優勝。海外初挑戦の09年7月米ツアー・エビアンマスターズで8位。翌週の全英女子オープンでは2日目まで首位と1打差の3位(最終33位)。昨季賞金ランクは1564万6100円の50位とギリギリでシード権を獲得。ツアー通算4勝。172センチ、65キロ。

 ◆三塚の途中棄権

 昨年5月6日に行われたワールドレディスサロンパス杯初日の8番で、遅延プレーによる2罰打を科され「納得がいかない」と反発。9番終了後に競技委員と話し合った上「私的理由」で棄権した。その後、2カ月8試合の出場自粛と日本女子プロゴルフ協会(LPGA)に罰金200万円を払った。