<男子ゴルフ:カシオ・ワールドオープン>◇第2日◇29日◇高知・Kochi黒潮CC(7316ヤード、パー72)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 史上初のルーキー賞金王へ向け、賞金ランク首位を走る松山英樹(21=東北福祉大)が、6バーディー、ノーボギーの66をマークし、通算6アンダー138の首位に立った。今大会の結果次第で、最終戦の日本シリーズJT杯を待たずに賞金王が確定。準地元の高知開催の一戦での優勝で決め、快挙に花を添える。

 賞金王へ向け、ラストスパートのスイッチが入った。9番パー4。松山は残り150ヤードの第2打を、9番アイアンでピン手前2メートルにつけた。「最初は昨日までと一緒でうまくいかなかったけど、あれで感触がつかめた。あとは同じような感じで打っていくだけでした」。ハーフターンを挟み、10番も取って連続バーディーとすると、さらに4バーディーを挙げて、一気に首位に駆け上がった。

 第1日は強風にもてあそばれ、ショットの距離感が合わなかった。30パットとグリーン上でも苦しみ、イーブンパーの15位と出遅れていた。先週のダンロップ・フェニックスの期間中には右頬が腫れ、病院でメスを入れて、たまったうみを抜いた。今大会に入っても「痛いわけじゃないんですけど、違和感がある」と左手親指の付け根をさするなど、コンディションは万全には程遠かった。

 それでもベストスコアの66をマークし、首位に立つのは実力がなせるわざ。「風向きや強さが分からないから、手前でいいと思って短めの番手で打ったのが、ピンそばについたのもあった。よく分かんないけど、ラッキーすよ。今日のスコアはたまたま」と首を振るが、久々の好スコアで気分を良くしたのも確かだ。

 今季残り2戦。賞金ランク2位の金亨成に約4300万円差をつけ、同ランク首位を独走する。今大会では金亨成と同ランク4位の小田孔が上位に顔を出しているが、同じ順位、もしくは2人を上回れば、優勝賞金4000万円の最終戦日本シリーズJT杯を待たずに賞金王が確定。小田孔が優勝しても、松山が単独3位以上で確定する。

 しかし松山は「賞金王は意識していない」と言い切り、さらに「優勝したいです。しばらく優勝していないので」とうなずいた。他の選手の結果を待つのではなく、今季4勝目で史上初のルーキー賞金王を飾るつもりだ。【塩畑大輔】

 ◆松山の賞金王確定条件

 賞金ランク2位の金亨成とは4294万8969円差。今大会でこの差が4000万円以下に縮まらなければ、優勝賞金4000万円の最終戦で金が優勝、松山が欠場でも逆転の可能性はなくなり、松山の賞金王が確定する。同ランク4位の小田孔が今大会で優勝した場合でも、松山が同スコア3人までの2位タイ(賞金1440万円以上)もしくは単独3位(賞金1360万円)なら、賞金王は決まる。

 ◆ルーキーイヤーの賞金王

 73年のツアー制施行後、前例はない。プロ1年目の賞金ランク最上位は81年の倉本昌弘で2位。この年の倉本の4勝がルーキーの年間最多勝記録。今大会で優勝すれば松山は最多タイとなり、さらに賞金も2億円を超える。94、96年の尾崎将司、01年の伊沢利光につぐ4例目となる。