男子ゴルフの片山晋呉(41=フリー)が「ノーロープマッチ」で日本ゴルフ界に新風を吹き込む。20日、東京・赤坂サカス広場で行われた、9月12日開幕の今季新設の「片山晋呉インビテーショナルネスレ日本マッチプレー選手権」(静岡・葛城GC)の出場選手発表会見に出席。「昔のトーナメントのように見やすい試合を」と、大半の場所でプレーエリアと観戦エリアを区切るロープを撤廃することを明かした。

 ファン重視の大会実現へ、型破りなアイデアを提示した。出場選手発表会見後、取材に応じた片山は「ロープもなくしちゃうよ」と話した。

 通常のツアー戦は、選手たちがプレーするエリアと、観客が歩いて観戦できるエリアを、ロープを張ることで区切っている。選手たちのプレーが観客の動きに妨げられたり、打球が観客に当たる事故が起きたりしにくい分、ファンがプレーを身近に見ることは難しかった。

 片山はこのロープを、大半の場所で撤廃することを提案。「昔のトーナメントはロープなんてなかったじゃない。グリーン近くまで来てもらって、真剣勝負を見てもらったら、ファンも喜んでくれると思うんだよね」。主催者側もこの考えに賛同し、ティーグラウンド周りや、グリーン周りなどを中心に、必要最小限のローピングに留めることにした。

 片山はさらに、選手たちにレーザー測定機を使ってピンまでの距離を測ることを許す代わりに、その距離をテレビ中継などでファンに伝えるプランも持っていた。さらにはラジコンヘリで選手の真上から中継映像を撮影することも提案した。「安全上の問題とかで、今回は実現できないんだけどね」。ネット中継ではファンが視点を操作して、選手に近い目線の映像が楽しめるなど、斬新な案が実現する。片山は会見の壇上で「こういう大会をさせていただくのは、現役選手だと世界でも僕とタイガーくらい。ネスレさんにスポンサーを続けていただいて、いつか日本シリーズJT杯のように、選手みんなが出たいと思う試合になれば」と話した。

 以前から「スポンサーさんも大事だけど、ファンを大事にする大会をつくりたい」とも言ってきた。常識に縛られない運営をするため、あえて非ツアー戦として開催する。試合数確保に苦しむ日本の男子ゴルフ界に、一石を投じる。