<男子ゴルフ:ANAオープン>◇第2日◇19日◇北海道・札幌GC輪厚(7063ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 谷原秀人(35=フリー)が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算10アンダー134の単独首位に立った。首から右肩にかけての痛みが悪化し、スタート直前には棄権も検討。首をかばってのスイングで、ショットの飛距離も精度も大幅に落ちたが、持ち前のショートゲームの技術でカバーした。

 6番パー4。谷原は15メートルのバーディーパットを決めると、首を極力動かさないぎこちない歩き方で、カップへ向かった。穴の底のボールを拾い上げるだけで、右肩甲骨付近に痛みが走り、表情をゆがめた。トップに立っても、表情は浮かない。「ボールの行方を見られないから、かえってよく決まるんかな」と1人つぶやき苦笑した。

 早朝の練習場。スタート前の練習を始めた谷原は、8月末から抱える首から肩にかけての痛みで、すぐにショット不能になった。慌ててクラブハウスに戻り、はりなどの応急処置を施し、何とか体が動くようになった。それでも「クラブハウス近くに戻ってくる4番で棄権する」と宣言してスタートした。

 体の回転に首も同調させないと、激痛が走る。「テークバックでボールが見えなくなる」という変則スイングで、飛距離は大幅に落ちた。8番アイアンで140ヤード強しか計算できず、専属の串田キャディーからは「女子プロ並みっすね」と笑われもした。

 当然、ピンにショットは絡まない。それでも、棄権予定だった4番パー4では8メートルを沈めてバーディー。これで急きょプレーを延長した。9番パー5ではグリーン奥からチップインバーディー、16番パー3では8メートルを決めてバーディーと、得意のショートゲームの技術がかえって際立った。

 見る者に「スコアメークはアプローチとパット」と再確認させる内容で、見事に単独首位に立った。それでも「明日はスタートできるか分からない」。そう言って首を振ろうにも、振れなかった。【塩畑大輔】