<男子ゴルフ:日本オープン選手権>◇第3日◇18日◇千葉・千葉CC梅郷C(7081ヤード、パー70)◇賞金総額2億円(優勝賞金4000万円)

 池田勇太(28=日清食品)が6バーディー、2ボギーでベストタイの66をマークし、通算12アンダー198で2位と3打差の単独首位に立った。難しいピン位置に苦しむ選手が多い中、難しいパーパットや長いバーディーパットを沈めて、流れに乗った。最終18番パー5では、スタンドのファンの大声にプレーを妨害される場面もあったが、気持ちを切らさずバーディーで締めた。

 意外な「試練」を何とか乗り切った。18番パー5。池田は残り60ヤードの第3打アプローチを、強いスピンでピン手前80センチにピタっと止め、スタンドやロープ際を埋める1000人単位の大観衆を沸かせた。「80ヤード残すつもりが、ユーティリティーが飛びすぎた。一番めんどくさい距離になっちゃったよ」。結果的には技巧が際立ち、ファンを大喜びさせる1打を生んだ。

 しかし、そんな幸福な会場の雰囲気に、いきなり水を差された。グリーン右サイドのスタンドから突然「お前のプレーなんか見たくないんだよ」と罵声が上がった。あわてたスタッフが、声の主である女性を退場させたが、大声はやまなかった。アドレスに入っても遠くから聞こえてくる雑音に、さすがの池田も「最悪だよ」とつぶやき、構えをといて肩を落とした。

 スタンドを埋める地元千葉のファンは懸命に「気にするな」と声をかけた。池田は気を取り直して、丁寧にパットを沈めた。2位マークセンに3打差をつける貴重なバーディー。しかし「打つ時ももやもやしていた。なんとか入った」と表情を曇らせ振り返った。

 前日までに続き、パットが好調。前半のピンチでしぶとくパーパットを沈め続けると、13番パー3では10メートル、15番パー4では尾根を越える5メートルと、難しいバーディーパットを決めてスコアを伸ばした。

 地元千葉で日本タイトルを取りたい。その一心で、銀座のクラブからの来店オファーも断って、本気で優勝を狙う。活躍をファンも喜ぶだけに、大声でのプレー妨害は残念な一幕だった。池田は12年キヤノン・オープンでも、第3日に同じ女性の大声でプレーを妨害された。その時も「試練」を乗り越え、4日間首位を守る完全優勝を果たしている。【塩畑大輔】