「ラグビー界の琴奨菊」が韓国を押し切る。ラグビー日本代表が27日、アジア選手権第2戦となる韓国戦(29日、東京・秩父宮)に向けて都内で練習を行い、相撲経験のあるプロップ須藤元樹(23=サントリー)が白星を誓った。

 スクラムやタックルなどの練習でうまくいかないと両手で顔を何度もたたいて、気合を入れる。その姿はまさに力士だ。須藤は「(第2戦の)先発に選んでもらい、今回がラストチャンスだと思って力を出し切ります。押して、押して、押し勝ちます」と勝利宣言した。22日の敵地での韓国戦は47-29で勝利するも、課題の残る内容にジョセフ・ヘッドコーチは「情熱が足りない」と精神面の甘さを指摘した。

 須藤も同じように感じて、この日は練習後に居残りでタックルの入るタイミングを何度も確認した。その1つとして、ボールを肩だけで上に押し出して3メートル超上げるトレーニングを行った。

 身長173センチと小柄だが、体重110キロで太もも周りは74センチもある。その体格と丸顔で切れ長の細目のため「良く、笑った顔が琴奨菊に似ていると言わます」という。実は小学1~6年まで相撲経験があり、板橋区の相撲大会で4連覇を達成。当時は相撲部屋からの誘いもあったが「相撲で生きていく自信はなかった…」。小学6年でラグビーを始めた。空手も黒帯(初段)を持ち、ラグビーと同じぐらい武道が大好きだった。相撲への情熱は明大進学後も変わらなかった。ラグビー部でありながら、定期的に相撲部へ“出稽古”し、果敢にタックルを繰り返した。「ぶつかる瞬間や足腰の運びは共通する部分がある。相撲の経験があって今がある」。土俵で稽古を積んだ「ラグビー界の琴奨菊」が2日後、白星に導く。