初優勝を目指す宇野昌磨(21=トヨタ自動車)が91・40点で6位発進となった。演技を終えると唇を結びながら少しほほえみ、悔しげな表情を見せた。

「何を言われようと、いさぎよく逃げました」。取材エリアに現れた宇野は、正直に自分の選択をそう表現した。冒頭の4回転フリップは踏み切るまでの軌道が「いつもと違うコースにそれてしまった」。転倒に始まり、続く4回転-3回転トーループを4回転-2回転にした。きっちりと着氷させたが、そこの部分を宇野は「逃げた」と表現。最後のトリプルアクセル(3回転半)は成功させたが、6位と出遅れた。

「逃げた」という言葉には、裏がある。「僕が(4回転フリップを)失敗した時点で(上位に)おいていかれないために(選択した)」。4回転-3回転の連続トーループで失敗を続けるリスクを排除し、あくまでも演技をまとめた。

最終滑走だったチェン(米国)は107・40点で首位に立ち、宇野の置かれた状況は厳しい。今大会は結果にこだわるからこそ、腹は決まった。「もう僕は、ショート(プログラム)のように無難な演技をしても、勝てる試合じゃない。点差的にも不可能。最後は攻めなければいけない。攻めるという気持ちは、絶対に必要」。フリーは23日。思い切って、攻める。