<フィギュアスケート:全日本選手権>◇25日◇大阪なみはやドーム◇女子フリー

 カナコ、やっちゃった…。初優勝が期待された村上佳菜子(17=愛知・中京大中京高)は3位に終わった。ショートプログラム(SP)で首位発進しながら、ジャンプで2度失敗。ステップでは足がもつれて転倒し、2年連続の銅メダルだった。「思い切り自由にやってきます、て言ってたら、本当に自由になっちゃって。コーチに『やっちゃったね~』て言われました」。舌を出しながら笑みを絶やさない17歳に館内も笑顔に包まれた。

 シニア参戦2年目。昨季はGPファイナル3位など華々しくデビューした。さらなる成長を期して「大人」への進化を目指したが、成績は低迷。スケート靴が合わずジャンプに精彩を欠いたことも原因だった。貸し切りリンクで寂しく泣いたこともあったが「やっと思い切り滑れるようになりました」。今月初めに日本製の“相棒”が現れて復調。フィギュア界の若きシンデレラが、ようやく自分に合う靴を見つけた。

 今季のテーマは「諦めない」だった。「去年までなら逃げ出したいと思っていて失敗したけど、今年は前を向ける。進歩しました」。5月には表現力を磨くため米デトロイトへ渡った。初の海外生活で多くの経験をし、体の使い方や表情の出し方も勉強した。「よくないこと続きだったけど、大人になれたと思います」。初出場だった昨季の世界選手権は8位。苦労を知った明るい笑顔で「去年の悔しさを挽回します」と雪辱を誓った。【近間康隆】