<大相撲初場所>◇2日目◇11日◇東京・両国国技館

 大関魁皇(37=友綱)が、幕内勝利数歴代1位に並ぶ807勝目を挙げた。若手の成長株、豪栄道(23=境川)と対戦。得意の右上手を取って力強く寄り切った。93年夏場所新入幕から17年、在位99場所目で横綱千代の富士が持つ記録に並んだ。3日目、関脇千代大海戦で単独1位を目指す。

 右上手をつかんだ瞬間、館内が大歓声に包まれた。必死に切ろうとする豪栄道だったが、魁皇はがっちり握って離さない。伝家の宝刀・上手投げで崩し、万全の左四つで寄り切った。天井を見上げ、大きく息を吐いた。新入幕から17年、99場所をかけて積み上げてきた白星が、ついに千代の富士に並ぶ歴代1位、807勝にたどり着いた。

 館内の興奮ぶりもあって、記録に無頓着な魁皇も、さすがにこの日は意識したという。「お客さんが(新記録を期待して)見てくれたんで、やっぱりね。人生にとってよかったのかな」と笑った。

 ここまで順風満帆ではなかった。大関昇進目前の97年夏場所で腰を痛めたのを皮切りに、左右の上腕、太もも、ひざなど休場に追い込まれたけががつきまとった。ほとんどのけがは、握力100キロを超える右手などのパワーを制御できずに自分で自分を「破壊」したもの。いまは毎日マッサージなどで体のケアをする。充子夫人手づくりの野菜ジュースを飲み、食生活も気遣ってこその「長寿」だ。

 年末に46歳のプロ野球西武の工藤公康投手とラジオで対談。「年齢を感じさせない(体調)管理は参考になった」という。「サッカーでもカズさん(42歳)なんて走り回っている。現役へのこだわりというか、オレもそうだけど」と、各界のベテランにも刺激を受けている。

 記録には「長くやってきたから。あまりこだわらない」と控えめ。だが、新入幕、再入幕の2場所以外、97場所は大関以上の上位陣と対戦する番付。同期の横綱曙、若貴ら旧二子山勢、1横綱3大関を擁した武蔵川勢ら、すべてを相手に戦って勝ち得ただけに、胸を張っていい。単独1位を狙う相手は、大関としてともに戦ってきた千代大海。54度目の対戦になる。「目の前の一番一番、どう取るか、それしか考えていないから。取るからには勝負に欲が出てくる」。通算勝ち星1000勝にもあと25勝。さらに先を目指す。【赤坂厚】