大相撲春場所(14日初日、大阪府立体育会館)の新弟子検査が6日、大阪市内で行われ、石川・西南部中3年の達綾哉(たつ・りょうや、15=高田川)が、第1検査の体格検査(173センチ、75キロ以上)を難なく通過した。昨年の全国都道府県中学生選手権の団体と個人を制した逸材は、193センチ、145キロと体格は横綱白鵬並み。「7~8年で横綱になりたい」と力強く言い切った。入門希望者52人中44人が臨んだ体格検査は40人が通過。第2検査(167センチ、67キロ以上)の通過者8人を含む合格者は、内臓検査の結果を待ち、春場所初日に発表される。

 金の卵が堂々と“トップ通過”した。達が胸を張って身長計に乗る。身長182センチの検査係、友綱親方(元関脇魁輝)が見上げた。「193センチ!」。まだ15歳の中学生が、52人の受検者で、ただ1人の190センチ台をマーク。体重145キロも2位タイの重さだった。体格検査を文句なしで通過して「身長は負けないと思っていた」と、硬かった表情を少しだけ崩した。

 待望の大物ルーキーだ。そのサイズはすでに、身長192センチ、体重152キロの横綱白鵬と遜色(そんしょく)ない。足のサイズは32センチで、靴は通信販売でしか買えない。石川・西南部中入学時に183センチ、108キロ。1日10合のごはんを平らげ、この半年で体重は10キロ増。「3年で関取。7~8年で横綱になりたい」と力強かった。

 父方の親族に元横綱輪島がいる。昨年8月の全国都道府県中学生選手権では、個人と団体で2冠を獲得。強烈な突きや押しの相撲は、将来性抜群だ。多くの強豪校から誘われたが「1日も早く横綱になりたい」と角界入り。既にけいこ場では部屋の三段目力士と互角に渡り合う。

 師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)は「しこ、てっぽうの音が違う。骨から出している」と目を細める。上京した先月22日には、今月16日の卒業式に先だって「1人だけの卒業式」を行った。級友に「横綱になれよ」と涙で送り出され、「けいこして強くなりたい。前へ前へ出る強い力士になる」と誓った。第3代若乃花以来遠ざかる待望の日本人横綱へ-。達が第1歩を踏み出した。【近間康隆】